銀の花

□第六章 『挑戦すること』
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「えいっ、えいっ!」

『よし、もう少しだからね』

「え、えいっ!ああ、もう…」

『ちょっと休憩しようか?』






鉄棒を頑張っている真子ちゃんと並んで休憩する。







「あの、宮澤先生…」

『ん?』

「こ、これ…良かったらいかがですか?」

『おお…いいの?すっごい美味しそうなんだけど!』

「は、はい!」








なんと真子ちゃんはお弁当を作って来てくれたみたいだった。

もちろんありがたく頂く。








『美味い!…真子ちゃんは食べないの?』

「はい、あの、結構好き嫌いが激しいんで…」

『そうなんだ?じゃあ、遠慮なく』







色々なおかずがあるけど彩りもいいし、栄養バランスもいい気がする。…詳しくないけど。







「宮澤先生って美味しそうに食べてくれるんですねー」

『あ、ごめん、ついガツガツと…』

「いいえ!そういう人が旦那さんだときっと幸せでしょうねー…な、なんて…」

『旦那さんかー…』








ふと由紀とのことを妄想してみた。

考えてみたら長い付き合いなのに結婚なんて考えたこともなかった。

それよりもまだ、ちゃんと恋人らしいことも最近は全然だしな。






TV局でのバイトでは彩ちゃんに会う事が結構多かった。

初めて電話してからもちょくちょく連絡をとっていたから、






「あーあ…その日は全然違うイベントに出演やねん…」






とかがっかりしているから、また会えるからってフォローしたっけ。








「先生?」

『え?ああ、ごめん、真子ちゃんはいい奥さんになれそうだよね?』

「そ、そんなぁ…」

「えー、真子は無理だよぉ。だってこれ、お母さんが作ってくれてたし」

「え?…お、お姉ちゃん!?」

「陽菜も行くって言ってたのに抜け駆け禁止―!」







陽菜ちゃんがいつの間にか後ろに立っていた。

いや、本当に怖いんですけど。
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