銀の花

□第五章 『癒しの歌声』
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うう…。






「こしょこしょ…」






むうう…。







「ははっ…まだ寝てるんかな?こしょこしょ…」






うぐぐ…。








『ふあくしょん!』

「わっ!び、びっくりした…起きた?」

『起きたって言うか、鼻がくしゅくしゅして…あれ?…あれ?』








ここ、どこだっけ?

えーっと…待てよ?

確かバイトに来て…それでお弁当は食べた…。

で、休憩時間はまだあるからと思って寝転がって…









「おはよう。…っていうのもおかしいな?宮澤くん」

『あ…えっと、やま…じゃなくて、彩ちゃん?』

「そうそう。よく出来ました」









彩ちゃん…アーティストの山本彩ちゃん。

その彼女が寝ている俺の隣でわざとらしい拍手をしながら笑っていた。

手に持っていたのはティッシュで作ったこより?

ああ、それで鼻をくすぐってたのか…。








『自称アーティストの山本彩ちゃん』

「じ、自称は余計や!」








自己紹介でアーティストと名乗ったくせになぜか恥ずかしがるのが分からないけど…

何だか面白いし、その様子は可愛いなって思う。








『ごめんごめん。ところでここで何を?』

「何をってここはうちの仕事場やし。宮澤くんかて仕事しにきとるんやろ?」

『ああ、そうそう…ちょっと休憩時間を利用して眠ろうと思ってたんだ』

「よう寝てたで?気持ち良さそうやったけど意地悪してしまったな」







ふとスマホを見る。

ああ、良かった…まだ休憩時間だ。








『ううん、起こしてくれてありがとね?熟睡していたかもしれないし』

「というより爆睡って感じやったけどな?あはは」








今日の彩ちゃんはこの前とは違う衣装。

この前は黒いレザージャケットのロックな格好だったけど、白い女の子らしい服装。

スカートも似合うよな。
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