ワンモアタイム

□第3話 『迷』
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翌日、学校へ行く前に久美が迎えに来てくれた。




「何かあったら困るからっ!」





って言っていたけど、いや、特に何があるってわけじゃないし。



登校途中も色んな知り合いに心配の声をかけられた。それに笑顔で返す。








「名前は皆の人気者だよねー」

『いや、そんな人気もないけどさ。でも同じことを何度も言うのが大変だ…』







いや、本当に。

皆が心配してくれるのは嬉しいけど、同じことを聞かれて答える。








『いっそのこと、校内放送で“心配ないです!”って叫びたい!』

「あははー、なんかのミュージカルみたいだねー?」

『いや、それは心配ないさー…だよね…』









久美と話す会話も相変わらず。



昨日は少し甘い雰囲気を出してしまったけど、別に気まずくはならなかった。

もしかしたら、実は気が利く久美があえて気にしないようにしているのかも。








『久美もそこまで頭は良くないか』

「え?理由わからないけど馬鹿にされてるの?…ていうか、今日日直だー!急がなきゃ!」

『…だから先に行ってて良かったのに…』







行く途中で玲奈にも会った。


すごく嬉しそうにしていて、ねぎらいの言葉をくれる。






「名前ちゃん…良かった…心配したよ?」

『ははっ、玲奈は心配性だなあ…なあ?久美』

「え?あ…そうだよね」







ん?どうしたんだろ?

何だか急に落ち着かなくなってる?








『久美?どうした?』

「えっ?う、ううん…あー、日直じゃなきゃ良かったのに…!先に行くね?」

『そんな急に…って、足早っ!』

「久美…」

『玲奈?なんか久美、おかしいよね?』

「えっと、そ、そうかな?」

『???』








その時背中に衝撃が…うおおおお…








『じゅ〜〜〜〜り〜〜〜〜なああああああ』

「わっ!よく分かったね!さすが名前ちゃん…愛情かしら?」

『違うわっ!病み上がりにこんなことをするのはお前だけだ!』

「ちょ、名前ちゃんっ!お、落ち着いて!」







玲奈が必死な顔でしがみつく。



ニヤニヤする珠理奈。
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