ワンモアタイム

□第2話 『決』
1ページ/6ページ




その日は大事を取って入院するようにと言われた。

そんなまだるっこしいことしてられなかったけど、皆にも心配されたしおとなしくすることにした…。




久美が心配して「私も泊まるー!」って言うのを珠理奈達に連れて帰ってもらった。

玲奈もすごく心配してくれた…前の時にあれだけ私のそばにいてくれたことを考えると不思議じゃない。






早く行動したかったけど、今のこの状況を有意義に使わなければ…。



恐らく失敗すると二度はない。

久美に対して何か行動するとしたら今しかないんだ。






後一ヶ月。長いようで短い時間。


一晩、ゆっくりと考えられたことで冷静になれた。

目の前で生きている久美を見た時は取り乱してしまったけど…

様子がおかしいと思われたらいけない。


暫くは体調が悪いとか、怪我の影響でと言えるけど。






気付いたこともある。

あの不思議な声は時間を巻き戻すとは言ったけど、同じことをなぞっているわけではないこと。



ここ最近で久美と一緒に帰らなかった日はなかったはず…

あの、事故にあった日を除いては。






多分、私が高台から落ちてしまった事実が介入した事で過去が変わったのだろう。






夜中、1人考える病室。

天井をぼんやり見ていてふと思いつく。






本当に…久美は生き返らないのか…






思いついた自分の考えに、勢い良く上半身を起こしてしまって痛みに顔が歪む。







『もしかしたら…生き続けることは出来るんじゃないのか?』







思いも寄らない結論に行き着いた。

いや、そんな。でも、まさか。

心臓がドキドキする。






それが出来るとしたら…






あの事故の日に未然に防ぐことが出来るなら。




だけど、あの不思議な声に言われた事を思い出す。






『久美を助けても強引に彼女が死ぬか、誰かを死なせる事になると言われた…』






それは誰なのか?

いや、恐らく決まってはいないんだ。

私がしたことが全てを決める。

それなら…明日にでも強引に退院してやる。






そして、まずは…






『久美に想いを伝えなきゃ』
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ