短編集A

□温泉
1ページ/2ページ






<拍手SS 『温泉』>







『思いきって来てみてよかったねー』






湯気の向こうにいる相手に呼びかける。









「そそそ、そうだね!」

『…緊張してる?』

「そ、そりゃそうだよぉ…」








寒い空気の中に白い湯気がほわほわ。

露天風呂ってだけでも気持ちがいいのに、冬だと気温差もあるせいか、温泉に浸かると更に気持ちが良さそう。




かなり忙しいスケジュールを縫ってここに来る事が出来た。

でも玲奈は本当にソロ仕事が増えてきたので、日帰りが精一杯。









『でもさ、本当は泊まりたかった?』

「そりゃ…そうだよ…もうちょっと佐江ちゃんと2人でゆっくりしたかった」

『…素直なのは温泉のせい?』

「ふふふ、そうかもね?」










ちらっとこちらを見て照れ笑いをするとすぐに向こうを向く。





恥ずかしくて正面向いていられないんだろうけど…

アップにした髪の毛で丸見えのうなじと、綺麗な両肩と背中が見えてて実はかなりドキドキ。








『ね?こっち見て』

「や、やだよ…恥ずかしいし」

『うーん、でもそれって逆効果だよ?』

「え?何が…きゃっ!ちょ、佐江ちゃん!?」








首筋を後ろからぺろっと舐めると予想通り高い声をあげる玲奈。









『玲奈のうなじとか白い背中とかすごい興奮するから…逆効果』

「もうっ…お、温泉だよ?駄目だよ…」

『だから家族風呂を予約したんじゃん…知ってるくせに…』

「あ、あ…もうっ、駄目…んん、本当に…」








こちらを振り向いた玲奈の唇を塞ぐ。

すごく気持ちが高まるけど、あまりにも興奮し過ぎてのぼせそう。








「佐江ちゃん…」

『少し冷まそうか?家族風呂って言っても露天だし、天井から玲奈の感じる声が聞こえちゃうかもしれない』

「え!う、うそっ!」

『いや、冗談だけどね?そんなに声を出す予定があるんですか?』

「ううー…意地悪だぁ…」

『佐江は意地悪なの知ってるでしょ?…二人きりだとね』









ざばっと上るときに玲奈も一緒に立ち上がらせる。








「だ、駄目!見ちゃ駄目!」

『もう散々見たのに…表から見えないところも』

「そういうのも言ったら駄目―!」







その後は『洗ってあげる』って言ってあちこち洗ってあげて…



何度も何度も入ってあがっていちゃついて、を繰り返して玲奈はぐったり。

























「佐江ちゃんー…疲れちゃって…眠いよぉ」

『あー、ごめんね?疲れを癒すどころじゃなかったね…』





誰もいないのをいい事に、玲奈の感じる姿が可愛くて何度も求めてしまってすみません。





今は帰りの電車の中。

玲奈がこてんと佐江の肩に頭を乗せる。








「佐江ちゃんー…うふふ…」

『…眠い?寝ていいよ。起こすから』

「また…行こうね?すごく気持ち良かった…」

『お、おおっ、行こうね!…っていうか…気持ち良かったのは温泉?それとも…?』








とりあえずその質問の答えは目が覚めてから聞く時のお楽しみにしておこう。








(END)




■□■□■□■□■□■□■□■□






拍手文第六弾です!

最近寒いなあ…温泉行きたいなあ…

と思って思いつきだけで書きました(笑)

こういうパッと書いてパッと終われるのも拍手文のいいところですね。

私の住んでいる場所にはたくさんの温泉があるので、久々に遠出しようかな。




お読み頂きありがとうございました!







管理人・詠





あとがき→
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ