短編集A

□お菓子よりも甘いもの
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「お菓子をくれなきゃ悪戯するよ?」

『え?』

「だからー、お菓子をくれないと悪戯しちゃうよっ!って。今日は何の日でしょ?」

『あ、あー…そういうこと!』






そう。今日はハロウィンです。

そして目の前には何故だかオレンジと黒のコスプレのこの人が。

ちなみに、明日の仕事のためにお泊まりしているホテルの一室でのこと。







「玲奈ちゃーん。お菓子くれないのかなあ?」

『さ、佐江ちゃん…いきなりそんな…あっ』







そうだ!

今日はハロウィンだから、ってキャンディとかチョコレートをもらったんだった!


ハロウィンにまでプレゼントとかって考えてなかったけど…これで許してくれるかな?







『はいっ、キャンディでいい?』

「んー、渡し方が失格!」

『え!合格ラインって何!?』








普通に手であげてるけど…何がダメなの?

すると佐江ちゃんはコスプレのまま、そのキャンディの包み紙の端をくわえた。








「んーっ」

『え?…と、取ってってこと?』

「んっ!んっ!」








どうやら佐江ちゃんは頷いてるようです。

えっと、これはやっぱり…。







『く、口で?』

「んっ!」







なんか…少し恥ずかしいんですけど…。

でもきっとしないと許してくれない…。




あむっと噛む。佐江ちゃんは満足そう。

受け取ったキャンディを自分の手のひらへ。








『あれ?でもこれじゃ私が佐江ちゃんからもらったってことになるよね?』

「一度もらって、それをあげたからいいんだよっ」

『そ、そうかあ…じゃあ、これで…』

「いやいや。まだあるでしょ?」







佐江ちゃんの視線がチョコレートへ…。



え、でもこれは…キャンディみたいに噛めるところがないよ?



それを言うと佐江ちゃんはニヤッと笑った。




うわぁ…なんか…悪い笑顔…。
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