短編集A

□恋におちた<後編>
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ううう…ね、眠いっ。




昨日はずっと夜中まで、みや…じゃなくて、佐江ちゃんとやり取りしてたのであまり寝てない。

今日の朝までは練習がない、ということだったので一緒に行く約束をした。

急いで支度をして、待ち合わせの公園まで歩く。






すると、公園の入り口に寄りかかっている佐江ちゃんが…はぁうっ!か、かっこいい…!



でも…同学年みたいな女の人たちから声をかけられている。


こっちを見つけると満面の笑顔で手を振られるので手を振り返す…けど、先輩達に見られて下ろす。






「玲奈―!ここ!待ってたよ!」







ああ、お、お願い、大声は…。

ほら、先輩達がすっごい訝しげ!







「ねえ、宮澤くん…あの子って借り物の時の…」

「うん!へへ!昨日から付き合いはじめたんだ!」

『はううっ』

「「「…えええーーっ!?」」」







ほら、ほら!こういうことになっちゃうじゃん!

もう…佐江ちゃんは顔を真っ赤にして嬉しそうにしているから気付かないだろうけど…




睨まれちゃってるよ、私…。





「玲奈!行こう!…じゃ、またね!」






佐江ちゃんはこちらに来ると私の手を握って、上級生の女子の皆さんの前を通り過ぎて行く…。

すっごい顔をしてみてますけど…睨んでる人とか泣きそうな人とか…こ、怖いっ。







『え、い、いいよぉ!』

「駄目駄目!俺の彼女を連れて行くのは義務だから!」






そんな押し問答をしていた理由は…





「俺の彼女だから絶対に教室までついていく!」






と言って譲らないこの人のせいです…。


もちろんまたまた目立っているし、恥ずかしいから手を離したいのに離してくれません。





「昼休みに来るね!」と叫んでニコニコして去っていく佐江ちゃん…。






「「「玲奈ちゃーん!」」」

『ひいいっ!び、びっくりしたぁ!』

「びっくりしたのはこっちだよ!」

「王子様と一緒に来た玲奈ちゃんはまさしくお姫さまで古川の鼻血がスパーク!」

「明音には萌えセンサーがないせいか、わからなかったけど!な、何が!?」






あああ…仲が良いこの人達には話しておこうかしら…。






『その、実は…』






簡単に昨日までの経緯を話す事にした。
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