短編集A

□秘密の恋から始めましょう
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「ねー、今日遊びに行く?」

「行こうよ!場所は?」

「誰かの家に集まるってのは?」



そんな会話を聞きながらぼんやりと音楽を聞いてると不意にイヤホンを外される。





『…おおおーい』

「何聞いてるのー?」

『何でもいいじゃん。返してよ』

「んー、一緒に聞かない?」

『聞かない』

「えーん、佐江ちゃんが意地悪―」




いや、人聞きが悪いんですけど。






「おーい!佐江ちゃん!何にゃんにゃん泣かしてんだよー!」






もっとうるさい奴が現われた。







『優子うるさい』

「だってにゃんにゃんの申し出を断るなんざ10年早いっ!」

「優ちゃん、いいのー。陽菜が悪いのー」

「おおっ!にゃんにゃん、さすが天使!」






そんなやり取りを横目で見る。

優子はにゃんにゃん大好きだからな。

確かににゃんにゃんは可愛い。というか美人。

性格だって可愛いけど、それだけで好きになるわけじゃない。

じゃれてくる優子を適当にあしらっているにゃんにゃんが、






「佐江ちゃんはー、陽菜と付き合ってはくれないの?」

『またその話―?』

「はあ…大島さんに言ってくれたら即決だよ!?にゃんにゃーん」

「優ちゃんはいいのー」







本当に、優子と付き合ってくれたらいいのに。



佐江は割りとモテるみたいだ。

手紙もらったり呼び出しがあったり。

でもそれは佐江個人の事だけじゃないと思う。




女子にはグループというものがあって、佐江は割りと人気があるグループらしい。

結構目立つメンバー多いしね。

目立つ要因はスポーツだったり、勉強だったり、ルックスだったり。

佐江がどれなのかはわからないけど、勉強じゃないのは確かだ。




そのグループの中の1人、にゃんにゃん…陽菜からは前に付き合ってって言われた。



でも断った。陽菜大好きな優子からは贅沢!って怒られたけどね。



好きになれないと付き合えないから仕方ないよ。
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