短編集A

□始まりの合図
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「小嶋さん!これ!」

「小嶋さんの席、用意しておきました!」

「俺と付き合ってくれ!」

「一番が駄目ならせめて二番、いや、末席でも!」





毎日毎日飽きないよねー。






『陽菜、明日から持ってくる紙袋増やそうかな〜』

「にゃろ…今日のプレゼントの数も絶好調だねー」





そう言って仲良しの麻里ちゃんが苦笑いしてるけど、麻里ちゃんだってモテモテじゃん。

でも麻里ちゃんは適当に流してるっていうか、スルースキル?っていうの?がうまいみたい。






『陽菜は皆の好意を無下に出来ないのー』

「まあ、それもにゃろのいいところにしとこうか」






皆は陽菜についていけないって言うけど、麻里ちゃんはいい人。

だって陽菜のことを見捨てないでいつだって構ってくれてるから。

他の女の子達とはそこまで深く付き合えないんだけどね。




昔も結構仲良くしていた子がいたけど離れて行っちゃった。

あーあ、陽菜はひとりぼっちだ…って思っていたら、麻里ちゃんが現われた。






「小嶋さん?これから友達になろうよ」






ってニコニコして現われた理由にびっくり。






『えっと、篠田さん?…だったっけ?友達って宣言してなるものー?』

「だって小嶋さんってモテモテだから女の子達が仲良くしてくれないでしょ?」

『えっ、そういう理由?』

「…気付いてなかったんかい…それはいいや。篠田もさ、女の子と仲良くしてくれないんだよね」

『ああー、なるほどねー…』






そう言われてみたら納得。

だって篠田さんもいつも男の子達にモテモテ。

特定の誰かとは仲良くしてないけど、陽菜と違うのは浅く広く皆と仲良くしてること。







『でも篠田さんって人付き合い上手だしー』

「あはは、そうかもしれないね?でも篠田と小嶋さんが2人並んだら結構見栄えがいいと思うよ?」






そう言ってニヤニヤしている篠田さんは面白いなあと思った。

だって自分の見た目がいいってことを堂々といえるところとかすごいって思う。






『んー、わかった。それに何となく気が合いそう』

「でしょ?じゃあこれからよろしくね?麻里子でいいよ…ええっと…なんて呼ぼうかな」






他の人から「にゃんにゃん」って呼ばれてるのを聞いたから、って「にゃろ」って呼んでくれる事になった。
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