明けない夜が明ける頃

□第4話
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その日は後ろ髪を引かれる思いで佐江ちゃんの部屋を後にした。




だって…帰るって言うと佐江ちゃんがすっごく悲しそうな顔をするの。





すっごくそれが…それが…可愛くて可愛くて…







『ねえー、もうやばいよー』

“やばいのはあんただけどね…”







佐江ちゃんと出会うきっかけを作ってくれた友達…はーちゃんと電話。








『やばいって何よー!…大体、はーちゃんがきっかけなんだからね?』

“それに感謝しているんでしょ?”

『うん…』







確かにそうなんですが…。







『ていうかなんで海外に行くのよー!』

“あんたさっきから文句しか言ってないんだけど”







出会うきっかけを作ってくれた人に会いたいなって佐江ちゃんがいうから聞いてみたら…


なんとはーちゃんは仕事の関係で海外へ行くんだとか。



しかも少なくとも1年は帰ってこないって言うし。








『佐江ちゃんが会いたがっているのにー…』

“玲奈は会いたがってくれないのね…”








なんだかぼやかれてるけどさ…一応これでもお礼言いたいと思ってるんだよ?









“しかし…一番のびっくりは玲奈が恋愛にハマったことだよねー”

『え?そ、そう?』

“だって今まで自分の事しか興味がなさそうだったのに”

『それ、誤解を招く言い方…』

“まあまあ。でも安心したよ!いい子だったみたいだしね!まさか高校生とは驚きだけど”

『本当だよ…しかも研修先の教え子とか…』

“本当は萌えてるくせに…”

『え?』

“ううん。なんでもないよ?”









ねえ?何か悪口言った?

声が小さくて聞こえなかったんですけど…。




会えないのは残念だけど、また戻ってくる時は連絡してね、と約束して電話を切った。








一年後…

私は先生になっているのかな?

それとも他の道?






そして…佐江ちゃんとはまだ一緒にいれるのかな?






たった一年と思うけど、その一年後はきっと色んな変化がある。

一年経てば佐江ちゃんは大学生?社会人?



多分私よりも佐江ちゃんの方が色々と変わってしまうんだろうと思うと寂しくなる。
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