明けない夜が明ける頃

□第2話
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「…先生?松井先生?」

『…へっ!?あ、す、すみません!なんですか?』

「あ、いえ…大丈夫ですか?」






どうやらかなり長い時間ボーっとしていたみたい。






『だ、大丈夫です!すみません、ぼんやりしちゃって』

「ねー、松井先生―?私の質問聞いてたー?」

『え?』

「もーっ!松井先生はすっごい可愛いけど、彼女か彼氏いますかあ?」







そうだった!…ていうか、答えられるわけないでしょ!






『…ノーコメントで』

「えー!何それー!」








ブーイング聞こえません。シャットアウトします。







「じゃあさー、私と付き合いませんか!?先生、可愛くて私のタイプです!」

『…え?』








松井珠理奈さんはニコニコしながらすっごい事を言う。

すると聞きなれた声が聞こえる。








「駄目だよ、珠理奈。そんなこと言うから松井先生はフリーズしちゃってるじゃん」







佐江ちゃん…松井先生、って呼び方にちょっと寂しさを覚えるけど、仕方ないよね。

きっと助け舟を出してくれたんだね。優しいな。





…と感激していると、近寄ってきた佐江ちゃん。







「松井先生?佐江の事はどうですか?」

『…えええっ!?』








顔を覗きこんで悪そうな笑顔で微笑む佐江ちゃんに思わず真っ赤になってしまう。


教室のあちこちからちょっと悲鳴が…悲鳴?







「ちょ、ちょっと!佐江ちゃんにはファンがいっぱいいるでしょ!」

「珠理奈にもいるでしょ?」








ああ、やっぱり佐江ちゃんはモテるんだ…。



さっき、ガラッと開いて佐江ちゃんが入ってきたときに、そちらを見る前に気になったこと。

クラスの半数以上の女の子達が色めき立った気がした。

それを不思議に思って、入ってきた人を見て…納得。






佐江ちゃんはニコニコしながらも少し悪そうな感じの笑顔。


それを見てドキドキしている子がいるのが分かる気がした。




佐江ちゃんはこちらには興味がないような態度でそんな子たちにアイコンタクトをしながら席に着いた。



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