電照菊

□高校生時代D
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春が過ぎて夏がやってきた。

毎日勉強した甲斐があって、このまま行けば合格圏内!と太鼓判を押された。

たくさんたくさん、勉強して、遊ぶときは遊んで。

お祭りの季節がまためぐってきて、いつものメンバーで楽しんで。

もちろん2人きりの時間もたくさん過ごした。

ぽっくんは部活を引退して、仕事の手伝いを頑張っていた。





『お邪魔しますー…』

「あら、いらっしゃい!明日香ちゃん!久しぶりね〜。受験勉強はどう?」

『はい、今のところ順調です。年明けに入試なんで追い込みしてますけど…』

「うちのバカ息子と遊んでいて迷惑かけてないか心配だわー」

「ちょ、ちょっと!母ちゃん何だよ!別に佐江は迷惑なんかかけないぞっ!」

「はいはい、麦茶とお菓子持って行きなさい」





そう言ってお盆にたくさんのお菓子と麦茶を乗せられてよろけるぽっくん。

トントンと足音を立てて二階へ上がっていくと、後ろからブツブツ言いながらぽっくんも上がってくる。





「母ちゃんがいるとあれこれうるさいよなあ…」

『ぽっくんのお母さん、いつも優しいじゃないー。楽しいよ?』

「佐江は何を言い出すか心配でそれどころじゃないよ…はあ」






部屋に着くとテーブルの上に麦茶とお菓子を下ろすぽっくんを見ながら、私はベッドに寄りかかる。

その隣にぽっくんが当たり前に座る。

何度体を重ねても触れる部分が熱くなる。





「なんか久しぶりだなぁ、明日香とこうしているのって」

『うん、最近模擬試験受けたり、勉強とかあれこれやってて…なかなかゆっくり出来なくてごめんね?』

「ううん。それはいいんだよ。だって佐江は明日香を応援するって決めたんだからさ!」

『…うん、ありがとう』





コテッと頭をぽっくんの肩に乗せるとそっと手をまわして抱き寄せてくれる。





『うーん、ぽっくんの匂い、久しぶりー』

「お、おおん」

『ふふふっ、耳、耳―!こねこねしちゃおっ』

「おおん…」

『ぐりぐりー、ぽっくん好きー』






ぽっくんの首筋に顔を埋めてぐりぐりってして、耳をこねていると気持ちが安らぐ。

勉強は嫌いじゃないし、目標に近づいている気はするけど…やっぱりこういう時間って必要だなって思う。




ぎゅっとぽっくんの体を抱きしめる。




私が勉強ばかりしている間にぽっくんは家の仕事をどんどん覚えて行って、体もがっちりしている気がする。





そういえば…最近…ってそんなこと考えちゃっている私が欲求不満かなー…。





「明日香」

『んー?…っ』





急にキスをされた。

不意を突かれて驚きのあまり体が固まる。


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