世界が変わる

□第一章
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「玲奈!今日は本当に来てくれてありがとう!」



そんなことを考えていたら宮澤さんがいつの間にか目の前に来てくれていた。




『い、いえ!私こそ、宮澤さんが舞台に立っている姿…感動しちゃいました』

「本当?玲奈に褒められると嬉しいなあ!」




はははっと笑って手をぎゅっと握ってくれた。

それだけで自分の顔が真っ赤になるのを抑えられない。

ダメだって。宮澤さんはこんなこと誰にでもやるじゃないの…。





「玲奈?ちょっと体調悪い?」

『い、いえ、あの、宮澤さんがとってもかっこよくって緊張してて…』





ああああっ!な、なんでバカ正直に言うの!

その場で座りこんで床をドンとしたい気持ちを堪えて俯く。




「え、えええー、そんな、玲奈は上手だなあ。佐江、テンション上がっちゃうよ」




照れ笑いをする宮澤さんもとってもかっこよくて直視できない。



「玲奈、写真を撮ってもらおうよ?宮澤さんも忙しいんだよー」



そんな優香ちゃんの声が聞こえると、宮澤さんは




「あ、そうだね!一緒に撮ろうよ!」



あ…。宮澤さんから握られている手が離れてしまった。

もっと、もっと、繋いでたかったな。



そんな事を考えながら、写真を撮る時は私は意識して宮澤さんの隣に並んでいた。





「あ、そうそう、玲奈」

『はい?』

「今出ちゃんと仲良かったでしょ?二度も来てくれたから御礼伝えててくれる?」

『あ、はい…きっと喜びますよ。宮澤さんの事大好きなんです、彼女』

「ははっ、佐江も今出ちゃんを好きだって言っておいてね!」




チクリ。




あれ?何だろう、これ。

友達を褒められたのに、なんでこんなに嫌な気持ちなんだろう…。

そういえばバレンタインのチョコも渡したって言ってたっけ…。




頭に温もり。

宮澤さんが私の頭に手を置いている。



「もちろん、玲奈の事も好きだよ?」

『っ!…あ、ああ、ありがとう、ございます…』



どうしよう…何か顔に出ていたかな…。


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