短編

□突然
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私と陽菜は付き合ってた

いわゆる、職場恋愛だった


自分の陽菜への気持ちに気付いたとき、叶うはずなんかないんだからと、頑張って歯止めをきかせて、空回りして陽菜とはたくさん心がすれ違ったけど、
結局お互い同じ気持ちだって分かって結ばれた


それから、キスもしたしエッチもした
お互い愛しあってた

でも、常にそんなラブラブな日常だった訳じゃない

たまに、2人で真剣に話し合うことだってあった



『優ちゃん、私もう少しで30じゃん
そろそろ…子供もほしいなって思うんだよね』
「うん…」
『もちろん、優ちゃんのことは好きだよ
だけど、将来を考えるとさ…』
「…そうだよね、いずれ終わりにしないといけないんだね」
そんなこと、初めから分かってたはずなのにいざ考えると辛かった

それは陽菜が他の誰かに愛されて、抱かれて、私しか知らない陽菜を見られるってことだったから

本当は誰にも渡したくなかった

ずっと、私だけをみてて欲しかった



でも、陽菜が幸せになれるのなら、我慢できる




そんな話をしてた矢先、陽菜に異動命令が出た

引っ越さなきゃいけなくなるらしい


これは神様が、陽菜を幸せに導くなら今だよって言ってるみたいだった



だから、引っ越し当日
「陽菜、前に子供ほしいって言ってたよね」
『うん』
「いいよ」
『えっ?』
「向こうでいい人見つけてね。
陽菜ならすぐにできるよ。
こんなべっぴんさん男が放っとかないって」
『優ちゃん…』
「あ〜私なら大丈夫だから、
私のこと気にして彼氏作らないとかだめだからね

陽菜が幸せなら私も幸せだから」

『うん…ありがと優ちゃん
優ちゃんもいい人見つけてね
じゃあ、またね…』




そう言ったけど、本当は、他の誰かに指一本でも触れさせたくなかった
ずっと一緒にいたかった

だけど、陽菜のこと困らせたくなかったから

最後にちょっと、強がっちゃった
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