その花の香りに酔う前に……

□第一夜後編 土翁と空夜のアリア
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ジュウゥゥウ、と焦げた音がした






「!?」





アレンをかばうようにどこからか奇怪な腕が伸びてきて界蟲一幻を受け止めた

(あの腕は……!!)

ウォーカー殿、と消え入るような声で呟くと、アレンはその場に倒れこんだ





「モヤシ!!」





アレンをかばったのは本物のアレンだった





「神田……」

「どういうつもりだテメェ……!!
何でAKUMAを庇いやがった!!!」

「ちょ、待っ……」






ユウを落ち着かせようもするも、アレンは神田を挑発的に睨んだため、さらにヒートアップしてしまった





「神田、僕にはAKUMAを見分けられる『目』があるんです。この人はAKUMAじゃない!」

「ウォーカー……殿……」

「!?」






(顔に割れ目!?)

目を凝らして中を見てみる

(あれはっ!?)

アレンも異変に気がついたようで顔の切れ目に手を差し込み、引き裂く

その瞬間、背後からわずかな殺気を感じ取り、ユウを突き飛ばす





「なっ……」

「トマ!?っ!そっちのトマがAKUMAだ!!」





後ろからアレンの声がした気がした






「黒……」





ドン、と大きな音がして体に衝撃が走った
腕だけコンバートしたAKUMAに壁へと打ち付けられる





「うっ……」

「ミサキ!!」





アレンの叫び声が聞こえた気がした

(ヤバイ……いし…き……が……)

AKUMAは私の首を押さえつけてくる





「ユ……ウ…」

「この馬鹿ミサキが」





視界の端から六幻を持ったユウが入ってきた






「界蟲一幻!!」

「うわっとぉ!!」





AKUMAは急いで私を放し、一幻をよけた
私はその拍子に地面に倒れこみそうになるがユウに支えられた





「あり……がと」

「俺の盾なんかになんじゃねよ。弱いくせに……」





他の人なら納得がいくはずの無い言葉だが、その真意さえわかればそんなことも無い

(心配……させちゃったな)

素直に大丈夫って言ってくれればいいのにとも思うがユウにそんな言葉は向いてない





「ユウ後ろっ!!」

「っ!?」





ユウが私を心配してくれた一瞬の隙を突いてAKUMAは再び攻撃してきた





「ッチ」

「きゃあ!!」





一瞬何が起きたかわからなかったが、次の瞬間尻餅をついた私はユウに投げ飛ばされたのだと理解した





「ミサ、大丈夫ですか!?」

「アレ……ユ、神田は?」





砂煙がやんだ
なんとユウは先ほどの私のようにAKUMAに捉えられていた

しかも六幻は私の足元に落ちている……


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