その花の香りに酔う前に……
□第四夜 後夜祭
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正直、ミサキがただの人間だと知って安心した
たとえばもし、どっかで読んだ物語みたいに実はミサキの手下だった、とかだったら……などと考えていた
(ま、それでも俺は手放すつもりは無いけどな)
「ミサキ、お前は兎達のところに行け。コイツは俺が殺る」
「了解」
俺は六幻を構える
「へぇ……キミ、もしかしてミサキが好き?」
「だったら何だ」
「いやぁ?俺としてはさ、強力なブローカーってか、俺に順当な人形にするつもりだったんだよねぇ」
ニィ、と歪んだ笑みを見せるこのノアに殺意が増す
「斬る」
「俺もちょっと本気ださないとやばいかもねぇ」
視界が黒く塗りつぶされて、千年伯爵の攻撃をまともに受けた
(ミサキは!?)
体中が悲鳴をあげる中、あたりを見回せばミサキを抱きしめるラビの姿があった
(やっぱミサキを馬鹿兎んとこ行かせるんじゃなかったな……)
ミサキが無事だったことの安堵より、ラビへの嫉妬心が少しだけ上回ったことは、誰も知らない
第四夜 後夜祭完