その花の香りに酔う前に……
□第一夜後編 土翁と空夜のアリア
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「ティムキャンピーです」
合流したトマは砕け散ったティムキャンピーを差し出した
「ティム、あなたが見たAKUMAの情報をみせてくれない?」
ピコ、と再生したティムキャンピーAKUMAの映像を映し出す
「鏡のようだ……」
「はい?」
「さかさまなの、このAKUMA」
「みろ」
ユウはトマにアレンに化けたAKUMAの映像を見せる
「奴がモヤシに化けた時の姿…・・・服とか武器とか、左右が逆になってる」
「モヤシ?」
(あれ、トマの前でユウがもやしって言うの初めてだっけ?)
「アレンのことだよ」
「切られた偽者もよく見ると逆……しかも中身はカラで360度外見だけのもの。ただ単純に「化ける」能力じゃない」
「何かで対象物を写し取ってる、のかな。しかもアレンの左腕で攻撃してるところをみると、その能力を自分のものに出来るみたい」
(だいぶ厄介なAKUMAかも……)
「もしウォーカー殿が生きてても現れた時、本物かどうかもわからないんですか……」
「いや、それは大丈……」
「あぁ、左右が逆になっているからな。もしそんな姿でノコノコ現れたらよっぽどの馬鹿だな……どうした、ミサキ?」
(気配が……)
私はユウを無視して人形と少女がいるはずの所をのぞく
「二人がいない!!」
「逃げやがったのか!!!?」
私たちが少し目を話している隙に二人はそこからいなくなっていた
「くそっ、あいつらどこに……っ」
「お二人とも!!」
「え?」
トマが指差した先、そこには
「……カ……カ…ンダァ……」
左右逆のアレンがいた
「『六幻抜刀』ミサキ、烏面だ」
「了解、『烏面』」
ユウの指示でイノセンスを発動する
「どうやらとんだ馬鹿のようだな」
「カ……ン……ダ……ド……ノ……」
烏面の能力でアレンの口元を見る
(あれ、今、神田殿って……)
ユウのことを神田殿と呼ぶのは一人しかいない
「『災厄招来、界蟲一幻』!!」
「まってユウ!!」
「無に帰れ!」
声をかけたときにはすでに遅く、ユウは界蟲一幻をはなっていた
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