その花の香りに酔う前に……

□第二夜前 千年の騎士
1ページ/10ページ



ローマのある所、媼は語っていた


「それは今からせ1000年も昔の事

この地を治めていた御領主様には『サンドラ』という美しい姫君がおられた。

16歳ともなると神々しい美しさは多くの人々の話題となり、遠くギリシャ、オリエントの国々からも姫を妻に迎えたいと望む男達が海や山を越えて運河の如く集まってきた

だが姫はどんなに良い縁談であろうと決して首を縦にはふらなかった

それでも言い寄る男達に姫はこう申された





『わたくしはこの世で一番強い者の妻になります』





そしてその力を試すために領主家に仕える剣闘士『ヴィクトリオ』と闘うようにいわれたのじゃ

ヴィクトリオは闘った

世界中から集まった武芸自慢の男達を相手に闘い続け、一度たりとも敗れなかった

その闘いは姫が病でこの世を去ってから1000年がたった今でも続いているという……」























稲妻が轟く闘技場

そこへ長髪な黒いコートを身にまとった青年が一人

向かいに立つは赤髪に体験を背負った男





「サンドラ姫の命により、お相手いたす……こい」

「……はぁぁああ!!」





ピシァァアアン、と雷の落ちる音が刀の音をかき消した……


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ