残された時間

□お前のために
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「ちょっとやめてください!」




そう強く言って抵抗したけれど





女の私が本気をだしたくらいで





男3人の力に及ぶわけはなかった






そして、私は引っ張られた





私はもう抵抗するのを諦めようとしたとき





『おい、離せよ』






その声は、とても懐かしい声だった





最初は、夢かと思ったけれど





声のする方を見ると







そこには、私の待っていた人がいた





「みなみ………………」






『なんだぁ〜 おめぇ〜はよ




この彼氏か? 』







み「そんなこと関係ねぇだろ」





南は、私が見たことないくらい怒った表情をしていた





『じゃあ、関係じゃねぇかよ』





男は南にガンつけて言ったが





南はそれに動揺もせず






私の手を引っ張って歩きだした






私はこのとき南の小さい背中がとても大きく見えた






そしてしばらく無言のまま私は引っ張られた






すると、人が少ない所についた






よく見ると、そこは2人の思い出の場所だった






そして、去年と同じように2人でベンチに座った





2人とも無言のまましばらくいた






私は南とはなしたかったけれど






何て喋ればいいかわからなかった






何を喋ろうかと一生懸命考えていると






そんな私を察してくれたのか






み「あいつらに何もされなかった?」




と優しく私に聞いてきた





「南のおかげで何もされなかった




遅れてしまったけど、ありがとね




助けてくれて」





み「別にいいよ




男として当たり前のことだし」




強かって言うものの、少し照れた南の顔は





昔と同じだった






南は昔とほとんど変わらずにいた





私の大好きな南が私の隣にいた






そして、私はもう離さないように南の腕抱きしめた






すると、なぜか私の目から涙がでていた






南は最初は少し抵抗していたが





私の涙を見たのか何も言わずそばにいてくれた






私にとってこの時間は、最後の2人だけでの幸せな時間だった







そして、しばらくたって南は





ベンチから立ち上がって





み「俺、そろそろ行くわ」





と言った





私は本当は離れたくなかったけれど





南も人を待たせているとなると





引き止めておくことはできなかった





「そうだね……………………




さっきは本当にありがとね





私の為なんかに時間を作ってくれてありがとう





また、どこかであえるよね?」







み「……………………」





南は私の質問に答えず歩きだした






そして、横断歩道を渡っている南の背中を見ていると






なぜかもう会えないような感じがした





すると、考えるよりも先に





身体が動いていた







そして、私は一生懸命に走った






「みなみーー」





すると、南はこっちを向いた






私は、もう南しか見えなくなっていた







南「危ない!!」





そう言って南はこっちに全力で走ってきた






そして、私は南に突き飛ばされ






キィキィーーーーーー






バンッ







突き飛ばされた後、前を見ていると





そこには、ヘコんだ車と血まみれの南の姿があった







「南!」





急いで南の元へ行くと






み「はぁはぁ 敦子、



ハァハァハァケガはハァないか?」






「私は大丈夫



でも、南は……………」






み「ハァハァハァ




良かった………………




敦子にケガがなくて…………」






「何言ってるの?




私のことより、自分のこと心配してよ」




私は泣きながら言った






み「ハァハァハァ ゴメンな敦子




お前を泣かせたりして




ハァハァハァハァハァハァ





でも、敦子を助けることができて良かった





お前のために死ねるなら、本望だよ」





と笑いながら南は言った






「何バカなこと言ってるの!




また、一緒に遊園地に行くっていったじゃん




ずっと私のこと守ってくれるんでしょ




ねぇ みなみ




お願いだから、ずっと私のそばにいてよ!!」




すると、みなみは私の涙を拭き取って






み「敦子、大好きだ」





そう言うと、南は目を閉じた






「ねぇ、南目を開けてよ!



南、南ってば!目を開けてよ!!」





いくら揺すっても南は目を開けなかった







「南ーーーーーーーーーーー」






私は、大声で泣き叫んだ………

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