あなたのために

□あなたのために2
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私は敦子の家から帰ってきて





ずっとベッドの上に寝ていた





目をつぶる度に




さっきの敦子の顔を思いだす




忘れよう、忘れようと思っても




何度も思い出してします




いつもの私なら



優しく抱きしめることもできたけど



今の私にそんなことをする資格はない




だって、私がそこまで追い込んだのだから



本当は敦子の泣いた顔なんて見たくなかった




本当は思いっきり抱きしめたかった




それにきちんと大好きって伝えたかった




でも…でも…………………




私の目から涙がでてきていた




「私って、ほんとダメだなー」




自分から別れようと言ったのに





敦子の方が絶対辛いはずなのに……




こんな気持ちになっていてはダメだと思い




私は1人で声をあげ笑った



「はっはっはっはっ」



大きな大きな声で笑った




でも、なぜか涙が大量に溢れていた



「うっうっぅぅ………」




私はもう声をあげて泣いた




たくさん泣いて忘れよう




そう思ってたくさん泣いた



でも、たくさん泣いても変わらなかった




むしろ、苦しくなった




テーブルの上に置いてある2人は笑っているのに………




私が勝手なばかりに………




私はテーブルの上の写真をダンボールに入れた



そして、敦子との思い出の物も全部片付けた




家に置いてある敦子の物も一つにまとめた




片付けをする度に、昔の思い出がよぎった



その度に、苦しくなった




そして、全てを片付けると




なぜか前より部屋が広くなったような気がした




「こんなに広かったけ………」




私の心にも大きな穴が空いていた



私はこの穴を埋めるために敦子を忘れることにした




明日に、この荷物返さないとなー………



この鍵も…………




この荷物を返したら




敦子のことを忘れられる………

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