あなたのために

□あなたのために
1ページ/1ページ





「別れよう」



えっ………………



私はこの状況をのみこむことができなかった




私はさっきのは聞き違いだと思って



『何て言った?』



と私が明るく聞き返すと




「敦子、別れよう」




今まで見たことないような




冷静で真剣な声で言ってきた




……………




私はその言葉の意味はわからなかったけど




この状況をやっと理解した





その途端に涙が溢れ出した




『なんで…… なんで…………』




私は消えそうな声でたかみなに聞いた




でも、たかみなは答えず




冷静にごめんとかえしてきた




いつも感情をだしているたかみなが



感情のない表情をしている




私は冗談だと信じたくて




『冗談だよね?』




私は泣きながら必死に聞いたが




たかみなはまたごめんとだけ返した




なんで…………なんで…………



たかみなは、私といるとき




いつも笑顔でいてくれたのに…




あの笑顔は嘘だったの…………





そう考えるとまた涙が溢れてきた



私はたかみなに自分の気持ちを伝えた



『私、たかみなのことが好きなのに


なんで…なんで別れてなんて言うの



教えてよっ…ねぇ、お願い…」



途中からはほとんど叫んでいた




でも、私はたかみなにきちんと届いたと思って




優しく抱きしめてくれるかと思ったけど




たかみなは



今まで見たことないような



冷たい表情をしていて



「敦子といると疲れるんだよね」



と冷たく言い放った




『えっ………………』




「仕事でも疲れるのに



敦子といたら、より疲れる



だから、別れよう 」



そう言って、たかみなは玄関に向かった




『待って』




私がそう言って



たかみなの腕を掴むと




ものすごい力で振り払った




その時のたかみなは




私の知っているたかみなではなかった




そのたかみなの後ろ姿を見て




なんか離れて行くようで怖くて



『たかみなは………



私のこと……好きだったの……?』



最後の力を振り絞って聞いたが




「ごめん」




そう言ってたかみなは帰った





なんで…………




いつからこんなことになったの……




前までは私の隣で笑ってたじゃん



好きって何回も言ってくれたのになんで…………




『たかみなぁ……たかみなぁ……』





私は朝までずっと泣いた

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ