Samson girl!

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翌日おれが起きた時、麦わらが起きたらしく飯を食っていた。


「エレナ、アンタ起きるの遅いわよ。・・・気持ちよさそうに寝てたから起こさなかったけど。」

『おう、悪ィなナミ。まだ疲れてんのかなー。』


今部屋にいるのは、おれとナミとサンジ、そして麦わらだ。


『・・・ロビンとチョッパーとゾロは?』

「ロビンとチョッパーはフランキー一家の方へ、ゾロは・・・まぁその内帰ってくるでしょ。」

『ふぅん・・・。麦わらも起きたみてぇだな。』

「あァ・・・エレナちゃん・・・アレ違うんだ。」

『何が?』

「どうしてもメシを食い損ねるのが嫌らしくてな・・・寝たままメシを食う技を身に着けたらしい。」

『アレ寝てんのかよッ!!??』


サンジが寝ていると言った麦わらは、確かによく見ると目を閉じて鼻提灯を膨らませながら食っていた。

いやでもあれは寝ながら食う量じゃねぇだろ。おかしいだろ。体の面積より食ってねェか?


「エレナちゃんにも何か作るから座ってな。」

『お、悪ぃな。さんきゅ。』


長机は麦わらの食べ物でいっぱいだったので、おれはナミのいるテーブルの方へ座った。。

ナミはテーブルにぐったりと上半身を預けて元気がなさそうだった。

おれがナミに声を掛けようとしたとき、丁度ドアが開いた。


「んがががが!入るよおめーら!」

「入るよー!」


二人の声の後に、にゃーやらゲロゲロォやらアニマル的鳴き声がしていたが特に気にしなかった。

あの猫とあのカエルだろ。

カエルは入口より体が大きいため、入ろうとして入口に無理矢理体を押し付けて壁がミシミシと音を立てていた。


「ヨコヅナ!おめー外にいな!!」

『バーさんじゃねぇか。』

「全員やっと目覚めた様らね。2日間寝通してよほど疲れてたんらね、当然らが。おや海賊王も元気なもんらね!!」


バーさんも麦わらが起きていると勘違いしたらしい。サンジにおれの時と似たような説明を受けて似たような反応をしていた。


「ログポースの記録はあと2日3日でたまるらろ!これからどうすんらい。」

「例え記録がたまっても・・・私達当分先へは進めないの・・・。」

『なんでだ?』

「新しい船を買う為の全財産1億ベリーも・・・服も・・・家具も・・・そしてベルメールさんのみかんの木もみんな・・・アクア・ラグナにもってかれちゃった・・・。」

「裏町の宿に全部預けてたもんでよ。」

『あ、おれの船・・・。』


そういえば海岸に停めたままだった・・・・・・・・・・・・・。

船っていうほどでかい船でもないし、精々小舟なのだがちょっとだけ荷物が積んであったりするんだよね・・・。


「じゃあ表の客はそれかねェ・・・。」

「客?」


「みかんの木〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」


バーさんの言う客は、麦わら達が預けていた荷物を全部届けに来てくれたらしい。

暗殺犯だって追い回していた時に没収していたそうだ。


「今帰ったぞー。」


その時帰ってきたのはチョッパーとロビンだった。

チョッパーはサンジに敬礼しながら報告をしていた。


「フランキー一家のケガ看てきた!あとロビンから目を離さなかったぞ!!」

「よし!ご苦労チョッパー!」

「見て!二人共!!みかんの木が無事だったのよ!!お金も荷物も全部戻った!!これで旅を続けられるわ!!」

「ほんとだ!良かったー!!」


しばしみんなで喜んでいた時だった。

急に扉があき、フランキーが変なポーズをとりながら入ってきた。


「アウッ!スーパーか!?おめェら!!全員・・・全員はそろってねェか!!まぁいい。」

「フランキー!」

「おめェらに話がある!聞けッ!」


そう言って入口付近に座り込んだフランキーは、勝手に話を始めた。


「ある戦争を繰り返す島に・・・」

「なんだ突然!!つまんねェ話なら聞かねェぞ。」

「うるせー!黙って聞け!!」


そう言って話し始めたフランキーの話は、「宝樹アダム」についてだった。

宝樹アダムは世界にたった数本、何が起きても決して倒れない最強の樹らしい。


「木がなんだ?」

「その樹の一部がごくまれに裏のルートで売りに出される事がある。おれァそいつが欲しいんだが2億近くもするって代物。手が出せずにいた。」

「てんめぇ!!おれ達の金でそんなもん買いやがったんじゃねェだろうな!?」


サンジが鬼みたいな顔でフランキーにどなっていた。おれもビックリな鬼の顔だ。


「まだ聞け!!話を!!・・・おれは昔、もう二度と船は作らねェと決めた事がある。・・・だがやはり目標とする人に追いつきたくて気がつきゃ図面を引いてた・・・。


おれの夢は!!その「宝樹」でもう一度だけ!どんな海でも乗り越えていく"夢の船"を造り上げる事なんだ!!


「宝樹」は手に入れた!図面ももうある!これからその船を造る!だから・・・完成したらお前ェら・・・おれの造ったその船に乗ってってくれねェか!?」

「じゃ・・・お前その船おれ達にくれるのか?」

「そうだ。おれの気に入った奴らに乗って貰えるんならこんな幸せなことはねェ。元金はオメェらから貰ったようなもんだしな。

─この海で唯一世界一周を果たしたゴールド・ロジャーの「オーロ・ジャクソン号」もその樹を使って造られた。スゲェ船にしてみせる。」


どうやらフランキーは麦わら達に船を造って渡すつもりらしい。

コイツ結構いいやつだよな。


「しょうがらいね・・・トムさんもお前も結局同じ職人なんらね・・・んががが」

「そうだな・・・今なら胸張って死んでったトムさんの気持ちがわかる。」


「お前いい奴だなぁ!貰うぞ!!ありがとうフランキー!!!」

「うお〜〜次の島へ進めるぞ!!」

「嬉しい!!ルフィ、船が手に入るわよ!!」


ナミ達は歓喜していたが麦わらは眠ったままだった。

その時、壁がいきなり音を立てて崩れた。


『何だァ!?』

「誰だ!!」

「お前らか・・・"麦わらの一味"とは。・・・モンキー・D・ルフィに会わせたい男達がおるんじゃが。」

「海軍・・・!!」


壁を壊して入ってきたのは海軍だった。・・・・・・犬の被り物・・・。

するとその海兵は麦わらに歩み寄り、思いっきり殴った。


「起きんかァ〜〜〜!!!」

「ルフィ!!」

「い、痛ェ!!!」


その反動で麦わらは目を覚ました。

それより今アイツ痛ェって・・・。


「痛ェ!?何言ってんだパンチだぞ今の!!ゴムに効くわけ・・・」

「愛ある拳は防ぐ術なし!・・・ずいぶん暴れとる様じゃのう、ルフィ!!」


そう言いながら被り物をとった海兵。

そいつを見て放った麦わらの言葉は衝撃的だった。


「げ・・・じ、じいちゃん!!」


「「「「『えぇ!?じいちゃん!!??』」」」」
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