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□9stroke
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ーーー


あと四日!!


「フフフ・・・ ついに分かりましたよ 僕の泳げない理由が」
「ホント!?」
「おぉ!」
「何か つかめたのか?」
「ええ 答えは すぐそこにあったんですよ それは…」
「「「それは?」」」


俺とひなきと渚は声を揃えて言う




「この… 水着のせいです! このブーメラン水着が悪かったんだ」

「それって僕が貸してあげた水着だよね なんか ひどくない?」
「ひどくな〜い!」
「おわッ」



「そもそも この ブーメラン型の水着は 流体力学的に僕の体に合わなかったのが原因だったんです たぶん! まだ計算はしてませんが」



怜が高笑いを上げる


「形から入る典型的なタイプだね」
「まぁ いいんじゃないか? 新しい水着 買うってのも」
「そうだね あのペンギン可愛いけど 怜のイメージとはちょっと違うし」
「えぇ? そうかなぁ」
「うん 怜には可愛すぎる気がする」
「僕のお気に入りなのに」
「渚には合ってると思うよ 渚可愛い系男子だから」



「可愛い系男子…?」



俺の呟きにひなきはコクコクと頷く
まぁ確かに渚は可愛らしいものが似合うけど



「怜はかっこいい系男子だから もっとシンプルなのがいいんじゃない?」
「カッ…!」
「え?」
「!?」


怜はかっこいい系男子だから



ひなきの言葉が脳内を反復する
言葉を詰まらせた怜に反して
渚がひなきの腕を引っ張って反論する



「えぇ〜?僕だってかっこいい系男子がいいよ〜」
「渚もかっこいいところあるけど どっちかと言えば可愛い系だと思う」
「かっこいい…」


ひなきの言葉に満足した渚は 満面の笑みでプールに飛び込んで
怜は顎に手を当てて何やら呟いていた



「じゃ じゃぁ俺は?」


思わず出た言葉は 少しどもってしまった


「真琴?」

俺はただ首を縦に振った


「真琴は 優しい系男子!」


笑顔でそう言われてしまって 俺は返す言葉も無い
俺もかっこいいって言われたかった…


















ーーー


あと三日!!



「へぇ〜 結構いろんな種類があるんだぁ」
「うん」
 

売り場に到着して 江ちゃんと水着を見ていた
この前真琴と水着を買いに来て 帰りに起こった出来事を思い出したら
なんだか気まずくて自然と 真琴とは距離を置いていた



「流体力学の観点から見れば レイノルズ数と境界層理論が 重要なポイントになると想定されるが 僕はさらに水着の色による心理学的 影響にも着目したい あと度付きゴーグルも必要です」



怜が意味の分からないことを言いながら商品を見る


「視界がぼやけるのも 原因の1つと考えられる」
「メガネ取ると見えないの?」
「ああッ ちょっと…」


「理論はすべて頭の中に入ってません!」



渚と怜が騒いでいるのを見ていたら
いつの間にか江ちゃんは真琴と遙のところにいた



遙がいつも着ているのと同じ水着を持って試着室へ入り
怜もその隣の試着室に得意げに入っていった


ーー
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