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仲間割れ
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「トキヤも帰ってきたことだしレッスンしようよ!」

「歌を仕上げなければな」

「パート分けはどうしますか?」

「せっかくというか偶然だけど同室の組み合わせでどうだ?」


メンバーが揃ったST☆RISHはデビューに向けて活動を始めた。Aクラスの面々が話す中に翔も混ざって意見を言う。


「いいんじゃないかな?」


レンが賛成の声を上げてトキヤを見ればレンの視線に気づいたトキヤも頷く。


「歌詞は遅れましたが書き終わりましたよ」

「じゃあ同室組で歌う箇所を練習しよう!」

「では音也、私はこちらで」

「僕達はここでやりましょう、翔ちゃん♪」

「あぁ、ついでにそこのフリも考えようぜ!」


お互いに声を掛け合い、2組の同室組が少し離れた場所でそれぞれの2人のパートを確認し歌って調整を始めた。


「神宮寺、俺達も…」

「あ…ゴメン、ちょっと待って。2番の歌詞を考えるの忘れてたよ…」

「何だと!?何を考えているのだ貴様は!!」


周りはもう歌って歌詞を変えてみたり思い付きの振り付けを試しに踊りながら調整をしているというのに自分達だけすぐに練習を始められないことに真斗は言葉を荒げた。


「…っ…そんなに怒ることないだろう」

「CDを収録する日まで日数がないのだぞ!!」


謝ったのにも関わらず怒りが収まらない真斗にレンは困惑していた。楽しそうに歌っていた音也達は2人の様子に驚いて歌うのを止めてしまった。


「ま、マサ…」

「なんだ…?」

「あの…レンもわざとじゃないと思うし…俺もっ…まだ2番の歌詞考えてる最中で…」


レンとほとんど同じ立場の音也は真斗を落ち着かせようと言葉を紡ぐが、それは火に油を注いでヒートアップした。


「一十木も自覚があるのか!!」

「…嫌だ…マサ、怖い…!」


ビクッと飛び上がって怯えた音也は後ろに下がりながらそう呟くなりレッスンルームからバタンと扉の音をたてて出て行ってしまった。


「音也っ!?」


突然のことに判断が遅れたトキヤは音也を追いかけるために慌てて部屋を出る。


「聖川…どうした…?」

「日数がないのは僕達もわかっています。が、何をそんなに焦ってるんですか?」


唖然としていた翔と那月は声を掛けていいものかと考えたが、真斗から何か聞けるかもしれないと恐る恐る声を掛けた。


「今は下積みで人気がないかもしれない。だがそれでも無名の
俺達を待ってくれている人達がいるのだ。それに…俺には時間がない…」

「…ちょっと待てよ。それって自分の都合を俺達に合わせてもらおうとしてんのか?」

「そういう訳ではない!」

「じゃあどんな訳だよ。アイドルになれないかもしれねぇのが怖いのか?」

「翔ちゃん…!」

「自分の都合で音也を傷つけたのかよ!ふざけんな、頭冷やせ!こんな状態で曲が完成したって嬉しくも何ともねぇ!!」

「翔ちゃんっ!」


口論を大声で遮った那月の翔の肩を掴む手は微かに震えていた。


「喧嘩はダメです…」


弱々しくそう言った那月は翔の手を引いて部屋から出て行った。


「…今のお前とは練習できそうにないね」


しばらく黙っていたレンが常備されている椅子から立っては言い放った。


「おチビちゃんの言った通り、少し落ち着いて頭冷やしたほうがいい」

「……」


レンは言うなり楽譜を持ったまま部屋から出て行った。真斗はただ一人部屋に取り残された。自分の個人的な事情で5人を振り回したことに後悔することになる。



続く。
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