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□それは突然に
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俺は何もしていない…。
そんな事を言おうとも証拠がなければ事実だと認めてくれない。
皆、俺を避ける…。
俺の…居場所はどこなんだ…?
秋も深まってきたこの時期から卒業オーディションに向けて二人一組の作詞作曲が始まる。俺は同じクラスの七海春歌を誘おうと決めていた。後は手紙を書いて入れて置くのみになっている。
次の日の朝に見ることができるように放課後、下駄箱に入れて置こう。
次の日、見てくれただろうかと不安になりながら俺は教室へ入った。そうすると奇妙な行動を目撃した。ザワザワしていた教室が俺が入った瞬間にシンと静まったのだ。
「お、おはよ…マサ…」
「おはようございます…」
明らかに二人の様子がおかしい。いつもなら元気に挨拶してくる二人が今日はよそよそしい。
「何かあったのか?」
「…えっと…」
俺の質問に視線を泳がせながら答えない音也。
「どうしたと聞いている!」
「っ…ま、マサ…あれ、本当…?」
この空気に居心地の悪い俺は悪いと思いながら口調を荒げる。ビクッと怯えた後に音也は教室の備品のラジカセを指差す。
ラジカセの近くには腕に包帯を巻いた顔面蒼白な女子生徒がいた。気になるところではあるがむしろ俺はこっちを先に知りたかったため、再生ボタンを押す。そこから流れてきたのは怪我をしている女子生徒の声であろう悲鳴。何故わかったか。それは女子生徒もアイドル志望であるために歌声を知っているからだ。
「私を襲ったの…聖川くんでしょ…?」
「はっ…!?」
「この子が言ってたのよ!青い髪で長身だって!」
「俺は違う!」
「何が違うのよ!」
女子生徒の友人が代わりに話す。なんだか話が噛み合わない。
「最低。一ノ瀬くんにでも罪をなすりつけようって?」
「青系の髪色だもんね」
他の女子生徒が話し出す。違う、俺は今一ノ瀬の事を思い浮かべたりしていないのに。
「早乙女学園はセキュリティが厳しいから外部から人が入るなんてありえない!よって犯人はあんたよ。」
女子生徒の友人の言葉に意味がわからず硬直してしまった俺は認めたと勘違いされ、クラス全員から避けられる事になった。
続く。