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□その後の団欒3
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「もう…トキヤのばか…」
皆の前でディープキスをしたことに文句を言っているが嬉しそうな顔をして音也は席に戻ってきた。
「良かったね、イッキ」
「う、うん…」
レンの言葉に恥ずかしそうに頷く音也。少ししてトキヤも戻ってきた。
「さぁ、聖川…」
「なんだ?」
「俺達が付き合うことになった理由を皆に教えようか」
「貴様が勝手に付き合うと決めただけだ。それ以外に理由はない」
「はい、終了」
華々しいレンの言葉からどんな理由で付き合い始めたんだろうとワクワクしていた音也だが、真斗がすぐに終わらせてしまった挙げ句に翔が締めてしまい落胆する。
「え〜、聞きたいよ…」
「諦めなさい、音也」
「…でも、僕も聞きたいです。レンくんと真斗くんのお話♪」
音也がぶーぶー文句を言っているためトキヤが宥める。すると続いて那月が聞きたいと言い始めた。
「どうせあれだろ?レンから聖川に告った、ただそれだけだろ」
「違うよ、それだけじゃない…!」
翔の言葉にムッとしたレンは少し言葉を荒げる。その様子に皆驚いている。
「おチビちゃんかシノミーならわかるはずだよ…昔からなにかしらの関係があれば今も気になること、あるだろう…」
「そうですね、僕も翔ちゃんとは幼い頃から仲良しさんですから」
「まぁ…そうだな…」
クラシック組と御曹司組には共通点がある。過去に一度でも一緒にいた時間があることだ。だからこそレンの気持ちを知ることができた那月と翔は納得している。
「聖川が俺のこと嫌いでもいいよ。でも俺はお前のことが好きなんだ…昔から気になってたんだ…」
「神宮寺…」
「聖川さん、レンは本気ですよ?女性に向けたことのない真剣な表情をしています」
「一ノ瀬まで…」
「マサ、レンの気持ち…届いてるでしょ?」
音也、トキヤに言われてまだ気持ちの整理がつかない真斗は椅子から立って考え始めた。
「どうかな…?」
レンの問い掛けに真斗は決心を固めて深く息を吸って深呼吸してから言った。
「神宮寺、窓辺に来い」
「え…?」
「いいから来い…!」
窓辺に呼んだのだからわかるだろうと言いたげな表情をしながら真斗はカーテンの裏に隠れてしまった。
「聖川…ありがとう…」
誰にも聞かれないくらい小さな声で幸せを呟いたレンは真斗の元へ行き、2人はカーテンの中でめでたく新出発した。