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□好きな気持ちは青信号
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いつからかは覚えていません。ただ、気づいたら貴方の事ばかり考えていて、廊下ですれ違い時の挨拶もいつの間にか楽しみになっていた。

――音也に気持ちを…

ツタエタイ…



「あ、トキヤ〜!」


私を見つけるなり走ってきた音也は息を整えて話しはじめた。


「今日は早く帰ってきてね!」

「何故です?」

「うーん…内緒っ!」


何を考えているのかウキウキしている音也は私の返答を待っている。


「…仕方ないですね。」

「本当!?ありがとう、トキヤ」

「いえ。それでは、私は教室に戻りますので」


断る理由もないからと了承すればもしも音也が小犬だったら尻尾でも振っていそうなくらいの笑みでお礼を言われた。そろそろチャイムがなるだろうと教室に戻る道を歩き出し、背後では「移動教室だったの忘れてたー!!」と声と共に走っていく音が聞こえている。私はクスッと笑いながらSクラスへと戻った。




放課後。
いつもなら図書館に寄ったりレコーディングルームに行って歌の練習をするのだが先約もあるためまっすぐ寮へと向かう。

部屋に帰ってくればすでに音也は帰っていて何やらゴソゴソとかばんの中を漁っている。


「音也?帰りましたよ」

「うわぁっ!?全然音しないから気づかなかったよ〜…」


私が声を掛けて驚くという事は本当に気づいていなかったらしい。驚かせてすみませんと謝れば昼間のやり取りを思い出して問い掛ける。


「ところで、何故私に早く帰ってくるようにお願いしたんですか?」

「あ、それはね〜…これを渡そうと思ったんだ」


目の前に出されたのは紙袋。それを受け取り、音也に許しを得て中身を出せば私が最近気になっていた書籍が出てきた。


「その本、この間欲しいって言ってたよね?たまたま見つけて買ってきたんだ!」


(たまたま見つけたって…音也、貴方はどれだけの幸運の持ち主なんですか。私が仕事の帰りに探そうとも見つからなかった本をいとも簡単に…)

そんな事を思いながら感謝を伝えると、私はある決意をした。音也が喜んでくれるかわからない、嫌われてしまうかもしれないと不安になりつつ、今しか言うチャンスはないと思って言葉を口にする。
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