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□英語は苦手
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「聖川…」
「ん?なんだ?」
「お前、イッキに何を教えたの?」
「英語だ。発音が聞きやすいと言われ実際に歌詞の一部を言ってみたのだ」
「……。」
声を掛けるなり平然と返事を返されて困っている神宮寺レン。こんな会話が始まるきっかけになったのは聖川真斗が同じAクラスの一十木音也に英語の発音をしてみてくれと言われ、その腕を披露した事にあった。
「聖川、お前自分の持ち歌でKnocking on the mind歌っているのに英語の発音…」
「それはノッキン オン ザ マインだろう?」
「…は?」
「それともノッキング オン ザ マインドか?」
「え…」
「どっちも違うのか?」
「いや、歌うときには最初ので構わないと思うけど…カタコトみたいな発音は…。」
「お、俺とてわざとやっている訳では…!」
「じゃあこれの発音は?」
『V』
「ブイ、ではないか」
何当然の事を聞くんだと言いたげな真斗にレンは苦笑いする。
「違うよ。ブィー。下唇に上の歯をあてるような感じで発音するのさ」
発音の仕方を教えられ、挑戦しようと言われた通りに練習しようとする真斗。
「ふ…ふい…」
「もう少し早く」
「び、びー」
「違う違う」
もはや言葉が違うため教えるのが嫌になったレンは一つ気になった事があった。
「お前さ、なんでKnocking on the mindはちゃんと言えるの?」
「あぁ、それは…
レコーディングする時に監督をしていた方にこう歌ってほしいと言われたのだ」
バサッと手に持っていた雑誌を落とすレンに理由がわからない真斗は眉間にシワを寄せた。
「どうかしたのか?」
「聖川…歌詞の英語の発音くらいは覚えてくれ…」
自分が指導しても手に負うことができなかったレンは真斗が英語のフレーズを歌うときに再度指導しようと誓ったのであった。