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□レコーディングの朝
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練習を重ね、ついにレコーディングの日がきた。
「聖川、喉の調子はどうだい?」
「あ、あー…大丈夫だ」
「そう。じゃあ行こうか」
早起きしてレコーディングルームを借りるなり歌の練習をしていた真斗を呼びにきたレンはついでと言わんばかりに問い掛けた。その質問に声を出して大丈夫だという真斗に安心するレンだった。
「あ、真斗くん、レンくんこっちですよ〜!」
「おっせーぞ、二人とも!」
「皆早いね」
「一人は寝坊しかけましたが…」
「もういいでしょ、それは…」
撮影の日のように待ち合わせをしていたST☆RISHは集まるなり普段のようなやり取りを始めた。
「今日はマイクを円形にセッティングして6人一斉に収録するそうですよ」
「歌いながら皆が歌ってる姿を見れるんですね♪」
「皆のマイクを目の前にしたときの表現の仕方を見られるのかぁ」
「なんか…すげー緊張する…」
歌のテスト等で廊下のモニターで見られたりはするものの、正面など向き合った状態で歌っている最中の表現を見られるのは初めてのことで緊張するメンバーがほとんどだろう。
「僕は楽しく歌えそうです!」
「私も、HAYATOと私とで表現が違うので慣れっこです。HAYATOは元気過ぎました」
「おーはやっほー♪皆、元気にしてるかにゃあ?」
「音也、やめて下さい」
HAYATOを思い出した音也は真似して見せたがトキヤに呆れられただけだった。
「一瞬で一刀両断されたな音也」
「あはは…俺は似てないよ」
年少の二人が話していると会話に参加していない人物が一人。
「真斗くん♪」
「な、なんだ四ノ宮…」
急に顔を覗き込まれて驚いた真斗は目を丸くした。その様子に那月は軽く笑う。
「会話、入らないんですか?」
「空気が乾燥していて喉がやられているのだ…飲み物を運悪く忘れてしまった」
「これから歌うので喉を痛めては大変です。僕の水でよければ飲んで下さい♪」
「いいのか?」
「はい、予備にもう1本持ってきたので」
「すまないな、頂く」
「どうぞ♪」
その様子を見ていたトキヤとレンは不思議そうだ。なかなか見ないメンツだからだろう。
「本当に大喧嘩が起きたグループかね、これは」
「喧嘩するほど仲がいい…ですか」
トキヤの言葉にフッと笑ったレンはトキヤと一緒に仲良く話す2組と距離を取って見つめていた。