およそ一生なんて

□第39話
2ページ/7ページ
















桃「許婚がいながらなぜそこまで名無しさんに執着する?僕の花嫁になってもなにも異論がないはず」



すると乱馬はゆっくり立ち上がったが、表情は髪に隠れて見えない。



乱「勝手に決められてそっちの方に感情がいくとは限らねぇんだよ」


『乱馬…』



視線を上げ、桃磨くんを睨みつける。



乱「俺は護りてぇもんを護る」



それから乱馬は桃磨くんに向かって火中天津甘栗拳をお見舞いするものの、自分の技が戻って来る。



乱「くそッ…これも奴の幻覚なのか…」


桃「思い知ったろう。君と僕の実力の差を。諦めてここから立ち去るがいい」


乱「そういうわけにはいかねぇ。奪われたもん返してもらうまでな」


桃「まだそのようなことを!ならば今一度見舞ってくれる!受けてみろ!幻術最大奥義、妖幻乱撃断!」


『乱馬ー!』



あっという間に乱馬は火に包まれた。



『桃磨くん!もうやめて!』


桃「名無しさん、言っただろう?」


『え?』


桃「忘れさせてあげるって」


『…』


桃「だから名無しさんは安心して僕のそばにいればい…」



桃磨くんが言い終わる前に火に囲まれたままである乱馬の声が聞こえた。



乱「勝手に殺すんじゃねぇよ。これから俺はなにがあっても名無しさんを護るって決めたんだ」


桃「なっ技がッ!」


乱「所詮は幻。気を確かに持っていれば耐えられるってもんさ!!」


桃「そんな…今まで誰にも破られたことなかったのに…ならばこの手で…ッ!!!」



乱馬に剣は届くことなく乱馬の拳が桃磨くんのお腹に入った。

そして桃磨くんが倒れた拍子に桃が彫ってある小さなチップがあたしの方へ転がってきた。


これは、泉があるところの…



桃「名無しさん…それは…!!」



チップを手にするあたしを見ながら痛みに耐えている桃磨くん。


でも……これがあれば乱馬が男の子に戻れるんだ。



『桃磨くん、ごめんなさい!』


桃「名無しさん、なにをするんだ!」



あたしは窪みにチップをはめた。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ