およそ一生なんて
□第39話
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-名無しさんside-
乱「触れんな、ってのが聞こえなかったか…?」
明らかにいつもと違う乱馬。
桃「ふっ、誰であろうと名無しさんは渡さん。特に君のような不逞の輩にはねッ!」
そして桃磨くんは一瞬姿を消し、彼が得意とする幻覚の技で乱馬に攻撃した。
『乱馬!』
思わず叫ぶと桃磨くんは何か察したように話し始める。
桃「らんま、だって?ここに来る前、僕と名無しさんの前に現れた女も確からんまという名だったな」
『…』
桃「呪泉郷という泉か」
まさか、桃磨くんからそんな言葉が出てくるとは思わず息を飲んだ。
乱馬は表情に出さなくとも驚いているだろう。
桃「噂には聞いていたが本当に存在していたとはね。まぁ、これで全て繋がったよ。あの女、女にしては名無しさんに執着していると思っていたんだ」
こっちが本物か、と刀を乱馬に向けた。
乱「残念だったな。俺が女だったらハンデになるかもしれねぇのに」
桃「戯言を」
桃磨くんは視線を乱馬に向けつつ徐々に下がってきてあたしに近づき、抱き寄せた。
そして耳元で。
桃「まさか、名無しさんが好きだという男はあいつじゃないだろうね」
そう言われあたしは反射的に桃磨くんの顔を見てしまった。
桃「図星ってとこか」
『ちが…ッ』
桃「おい、お前」
桃磨くんは腕を解くこともなく乱馬に言い放つ。
桃「お前には、許婚がいるだろう?」
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