およそ一生なんて
□第33話
1ページ/11ページ
-名無しさんside-
『影分身香?』
道場にて。
お昼、庭で乱馬とおじさまが稽古をしている最中、おじさまに殴られておじいちゃんの部屋へ飛ばされた乱馬の頭の上に大事にしていたおじいちゃんの下着が乗ったらしい。
そんなこと気にせずに乱馬はその下着を二つに轢きちぎって。
それに怒ったおじいちゃんに殴り飛ばされたわけなんだけど。
乱馬はさっき帰って来てすぐ道場に駆け込んじゃって。
そこで何かするのかと問えばさっき中国から来た人から影分身香とかいうものを購入したとか。
そして今に至る。
乱「中国3000年の秘薬で格闘の奥義を極めんと己の影を稽古台として更なる武道の高見へ到達せんとした古代中国の幻の秘薬なんだとよ」
『それで結局買っちゃったんだ。こういうのあんまり興味なさそうなのに。そもそも自分の影と闘えるなんて信じられないじゃない』
乱「まっ、騙されたと思って試してみるさ。さ、その香炉をこっちに貸しな」
『う、うん…』
そして香炉を渡すと乱馬はマッチで火をつけた。
そこからにおう香りは決していいにおいではなくて。
乱「うわっ、ゴホゴホッ」
『ひどいニオイ…』
乱「この煙を浴びたやつの影が独りでに動くようになるんだと」
『本当なのかな…』
乱「ゴホッゴホッ!…どうだかな」
少し経つと煙はなくなった。
乱「さ、もうこれでいいかな」
乱馬は立ち上がって影を見る。
でも特に普段と変わりなくて。
乱「ちぇっ、やっぱだめか」
『もう、変なもの買ってきて。どうせインチキ商品だったんだよ』
はぁ、とあたしがため息をついたら乱馬が驚いた声をあげた。
乱「おい、見ろよ!」
『え…影が…!』
影がどんどん伸びていき、最終的には乱馬の形になった。
『うそッ!』
乱「やったー!よぉーし、さっそく稽古だッ!!」
それから稽古をやり始めたわけなんだけど…
確かに自分の分身とあって強くて本当にもう一人の乱馬がいるみたい。
乱「おらーーーーッ!!!!!」
お互い頬に一発入ったところで分身は姿を消してしまった。
お香の効果が切れたのか。
説明書を読もうと紙を手に取れば全て中国語で。
読めるわけないけど、その紙には"是危険"と書いてあった。
"これ危険"って…
『ねぇ、乱馬このお香本当に大丈夫なの?危険て書いてあるし、なにか副作用があるんじゃない?』
乱「んなもんあるかよ。そんなことより今は強くなれるなら手段なんか選んでいられねぇよ」
『でも…』
乱「さぁ!稽古だ、稽古!」
…なにもないといいけど……
.