およそ一生なんて

□第32話
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『あ、いたいた』

乱「ん?名無しさんか」



あのクリスマスイブのことがあってから少しお互い気恥ずかしかったけどようやく最近は慣れてきた。



『桜餅、食べない?』



お茶と一緒に桜餅を乱馬に差し出す。



乱「いつものとちげーな」

『あたしの手作りなんだけど…』

乱「ふーん」



ためらいもなく桜餅を一つ手にとって口に入れようとすると…



九「名無しさん名無しさんの手作り桜餅、食べたいぞーッ!」

乱「げっ、九能!」



九能先輩は乱馬が持っていた桜餅を奪って食べてしまった。



『あーーー!』



九能先輩はしゃがんで下を向き両手に拳を作り震えている。



九「うまい!うますぎるぞ!」

乱「な…ッ」



パッと顔を上げるとペケマーク。

よかった、ペケ…



乱「おい、なんだこれは」

『…(汗)』

九「交際しよう名無しさん名無しさん」

乱「てめーは入ってくんじゃねぇ!」



乱馬が九能先輩を蹴り飛ばしたところであたしは乱馬に桜餅のことを話した。



乱「恋占いだぁ〜〜!?」

『うん…』



うわー…

すごくバカにされそうな予感。



『べっ、別に乱馬一人にわざわざ食べてほしいわけじゃなくてあたしの周りにいる人に食べてほしいだけだからね!』

乱「くっだらね〜〜」

『(ムカッ)そんなこと言うなら普通に食べてみてよ!』

乱「けっ、これだから女ってやつは…こんな馬鹿らしいこと信じやがって…」



桜餅を食べようと口を開けたのをじっと見る。



乱「!」



じー…



乱「(まさか…本当に本物…?)」



すると乱馬はそっと桜餅を戻した。



乱「やめた」

『え、どうして?』

乱「こんな桜餅一つで…運命にもてあそばれるのは嫌なんでぃ!」



そう言い捨てこの場から逃げ出す。



『ちょっ、それってただ怖いだけなんじゃん!!!バカ乱馬!』



桜餅を持ってあたしは後を追いかけた。




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