およそ一生なんて

□第32話
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-名無しさんside-



「あれ、休業か。残念、ここの桜餅おいしいのに」



かすみお姉ちゃんにお茶菓子を買ってきてとおつかいを頼まれ、いつも買っているお店に行ってみればこんな始末。



?「お嬢さん、あんたは運がいいっ」



背後から声をかけられ振り返ると和菓子という文字の旗を持ってるおじいさんがいた。



お「女の子にぴったりの桜餅がございますよ」

『女の子にぴったり?』

お「あんた…」

『ん?』

お「ずばり恋でお悩みじゃろう!」

『えぇ!?』



ひゅ〜と冷たい風が吹く。



お「本当にお悩みだったとは」

『なんの為に言ったのよ』



それからとりあえずおじいさんの話を聞くことになった。



『桜餅の恋占い?』

お「さよう。あんたの手作り桜餅を意中の人に食べさせる。もしもその男があんたと結ばれる運命の者ならば…あら不思議、顔面に桜の花びらの印が表れる」

『…うさんくさい』

お「まぁまぁ、騙されたと思って」



なんだかんだ押されて買うはめに。

あたしは完成されてる桜餅を食べたかったのにこんなことになるなんて。










『さて』



家に帰って来て桜餅を作り始める。



『ばかばかしー。こんなのインチキに決まってるのに。そういえばあたしあんまりお菓子って作ったことないかも』



少しお菓子作りを楽しみながらなんとか完成し、かすみお姉ちゃんがお茶を入れてくれて居間で皆のんびりお茶をした。



早「そーか、名無しさんが桜餅を」

な「突然どうしたのよ」

『なんとなく…。あんまり自信ないけどとりあえずどうぞ?』



天道のおじさまが桜餅に手を伸ばそうとすると、ひょいと八宝菜のおじいちゃんが出てきた。



八「おっ、桜餅か!」

早「お師匠さま、名無しさんの手作りです」

八「ほう!では一つもらうぞっ」

『あっ』



なんの疑いもなく一口で食べた。

すると徐々に顔に模様が出る。



八「桜餅はやっぱりうまいのう」



そんなことをいうおじいちゃんの顔には大きくペケマークが。



『!』

な「な、なにこれ」



"もしもその男が結ばれる運命の者ならば…桜の花びらの印があらわれる"



これ、本物だったんだ…




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