およそ一生なんて
□第31話
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『ただいまー』
あ「おかえり、名無しさん」
か「乱馬くんは?」
『しらなーい』
な「あら、また喧嘩?」
『喧嘩じゃないよ。そんなこといいから早く飾り付けしよ』
あたしはさっさと奥で飾り付けのパーツを広げていた。
あ「喧嘩ね、あれ」
な「あんたと乱馬くんもよく喧嘩するけど名無しさんと乱馬くんの喧嘩はなんか質が違うわよねー」
あ「そりゃそうよ。あの二人両思いなんだから」
な「それもそうか」
こんな会話をされてることなんてあたしは知るはずもない。
――――
――
―
それから数時間後。
あ「ねぇちょっと名無しさん、いくらなんでも乱馬遅すぎない?」
な「そうね。あんたたち今度は一体どんな喧嘩したのよ」
飾り付けをしている中、手を止めてあたしを見た。
『え?喧嘩だなんてそんな…』
あれは喧嘩じゃない、はず。
勝手に乱馬がどっか行っちゃったわけなんだから。
か「でも本当にどうしたのかしら」
視線を時計に向ければもう少しで2時を指すところ。
もしかしてあのままムースにやられちゃったとかないよね…?
いや、でも乱馬だし。まさかね。
"愛し合っている恋人たちはふたりだけでクリスマスをやるね"
その言葉がふと蘇る。
もしかして乱馬がムースを倒した後で乱馬とシャンプーが…
『だめ!だめだめだめだめーッ!!』
あ「なっ、どうしたのよ名無しさん」
『あたし、乱馬探してくる!』
乱馬を探しにいくべく家を飛び出したのだった。
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