およそ一生なんて
□第31話
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飾り付けをされているお店の前を歩いているとちょうどムースがお店から出てきて乱馬とぶつかってしまった。
その拍子にムースが持ってたプレゼントらしき物が道路に落ちて、そのままローラー車に轢かれてペラペラの紙のようになる。
『も、もしかしてあれ…シャンプーにあげるものだったんじゃ…』
乱「ははは、ありゃあもう渡せねーな」
ム「乱馬が悪い」
乱「え。おい!ちょ、ちょっとまて俺のせいじゃねぇ!おめーのほうから勝手に俺にぶつかってきたんだ!」
そう言うや否やムースは乱馬に向かって攻撃を仕掛ける。
ム「問答無用!オラの怒りを受けるだー!」
『えっ、ちょ』
乱「危ねぇッ」
乱馬は咄嗟にあたしを庇ってくれた。
乱「大丈夫か」
『うん…』
このままじゃ周りの人まで巻き込んじゃうよ。
乱「やめろ、ムース!」
ム「…今日という今日は許さねぇだ!」
乱「こりゃあ、このまま収まりそうもねぇや。一足先に帰っててくれ」
背を向けている乱馬がそう言う。
『飾り付けがあるんだからすぐ帰って来てね、乱馬』
乱「あぁ、なるべくな」
そして乱馬はムースと一緒にこの場からいなくなった。
『…結構、楽しみにしてたのにな』
ボソッとそう言えばたった一人聞いていた人がいて。
シ「名無しさんも乱馬と一緒にクリスマスイブを過ごしたいあるか?」
『シャンプー…』
シ「そろそろ認めた方がいいね。名無しさんは乱馬が好きある。違うか?」
ここで認めたらなにか崩れてしまう気がする。
セーブが効かなくなって…
そう、全てが。
『あたしは』
シ「乱馬は私と二人きりでクリスマスイブを過ごす。愛し合っている恋人たちはふたーりだけでクリスマスをやるね」
『…ッ』
シ「わたしは名無しさんのことがもちろん好きね。でも乱馬に対して中途半端な女には容赦しない。もちろんそれがたとえ名無しさんだとしても」
そう言い残してシャンプーも乱馬を追いかけてこの場からいなくなった。
『それでもあたしは認めるわけにはいかないんだよ…』
いつここからいなくなるか分からないんだから。
根本的に、この想いからして気持ちが決まってるなんて分かってるけど考えないようにするしかなかった。
そうすることしか、今はできない。
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