およそ一生なんて

□第29話
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-乱馬side-




名無しさんの病室が見える近くの木から親父たちが帰って行くのが見えた。



乱「名無しさんのやつきっと誤解してるよな。ここは一つ下手に出た方がいいかもな、やっぱ。…よーし」










コンコン



『はーい……あ…乱馬…』

乱「よお、足の具合どうだ?」

『東風先生は大したことないって』

乱「俺にも責任あるよな」

『大丈夫だよ。あたしの不注意だったから誰のせいでもないよ』

乱「そうか?お前にそういってもらえると俺も気が楽だぜ」



名無しさんの頬が少し赤いのは気のせいだろうか。



『でも、どうしてあのとき授業中だったのにあんな騒ぎになったの?』

乱「え、あ、いや、あの…五寸釘の野郎があんまりしつこくお前の写真を撮ってたんでついカッとなってよ」

『えっ…』

乱「え、あ!誤解すんなよ名無しさん!お、おお俺は別にヤキモチ妬いたわけじゃねぇんだからな!ただ…」

『ただ?』

乱「!……つまり俺は…」

『俺は?』

乱「名無しさんが…」












(妄想終了)




ちがーーーーーーーーーーーーうッ!!!!!!




俺はなにを言おうとしてッ…



乱「もっと陽気に攻めたほうがよさそうだ」










コンコン




『はーい』

乱「(陽気に陽気にっと)よう!意外に元気そうじゃねぇか名無しさん!悪かったな!」

『全然。あたしの不注意だったから誰のせいでもないよ』

乱「そうか?怪我も大したことなさそうでよかったじゃねぇか」

『ありがとう乱馬。あたし嬉しいの。あなたが他人に写真を撮られるのも我慢できないくらいあたしのことを好きでいてくれたなんて』

乱「え」

『あたしそのことが分かっただけで、それ考えたらこんな怪我なんて』

乱「!…………名無しさんッ!」



そのまま唇が重な……












(妄想終了)




ちがーーーーーーーーーーーーうッ!!!!!!



乱「な、なんでこうなるんだよ。俺って欲求不満なのかよ…冗談じゃねぇぞ!」



一人で焦っていると一階の方の窓がガラガラという音と共に開いた。



乱「(やべッ)」

東「ん?………はっはーん…」



それから俺は結局名無しさんに会わずに帰ったのだった。




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