およそ一生なんて
□第27話
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-名無しさんside-
どこの学校にも七不思議というものがある。
この風林館高校にも――
『伝説の相合ガサ?』
ゆ「名無しさん知らないの?」
さ「七不思議の一つらしいわよ」
掃除中、ゆかとさゆりが突然七不思議の話をし出す。
『あかね、知ってた?』
あ「ううん、知らない」
梅雨時になると毎年玄関先に貸しガサが置かれる。
これは卒業生たちの忘れ物であるのだがその中の一本に、
何とも奇妙なカサが紛れ込んでいるとのこと。
さ「そのカサに一緒に入った二人は必ず相思相愛の仲になるんですって、だから伝説の相合ガサ」
ゆ「ロマンチックよねー」
『本当にあったら確かにロマンチックかもしれないけど…』
ゆ「でしょでしょ!」
そんな話をしながら掃除を進め、終わる頃に外を見るとどんよりとしていて。
『あかね、帰ろ!』
あ「ごめん、先帰っててくれる?」
『あ、今日日直だっけ?』
あ「そうなの。かすみお姉ちゃんにも言っといてくれる?」
『うん!わかった!』
そして一人で下駄箱に向かい、靴を履いて外に出ようとした。
『うわー…タイミング悪い…』
丁度雨が降ってきてしまった。
貸しガサを見てみると運良く一本だけ残っている。
『ラッキー!借りてこっ』
カサを手にパッと開いてみればそこには「相思相愛」と字と共にカサの周りにハートがぶら下がっている。
明らかに変。
乱「おっ、名無しさん」
『乱馬…』
乱「ちょーどよかった。カサ入れて」
『いーんだけど…』
このカサを使って帰ろうか迷っている時に乱馬は近づいてくる。
九「危ない、名無しさん名無しさんーっ!」
『ん?九能先輩?』
大声を出しながら乱馬を木刀で殴りとばす。
いつものことだけど危ないってどういうことだか分からない。
九「感謝しろ。危うく早乙女乱馬と相思相愛になってしまうところだったぞ」
『相思相愛?』
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