およそ一生なんて

□第21話
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少し時間が経ち、おじいちゃんも落ち着いてくると乱馬にあたしは呼ばれ2人で外に出た。



乱「とにかく、俺はもう帰るからな」

『…うん』

乱「二度と迎えになんてきてやらねーからな」

『……うん』



今あたしは一人の命を助けられるかもしれない立ち位置にいる。

ここで帰ったら真之介くんの命は…



ポロッ…



乱「なっ、なに泣いて…」

『ごめん…ッ』



自分でもなんでか分からなくて必死に涙を拭く。

でも止まらない。



乱「…帰るぞ」



きっとこれは乱馬の優しさ。

たった一言だけ言ってあたしの手を優しくとってくれる。

そして歩き出そうとする乱馬をあたしは止めざるを得なかった。



『あたし…真之介くんのそばにいる』

乱「………は?」



力が抜けたように手を離してあたしを振り返った。

逆にあたしは乱馬に背を向ける。



『乱馬、これには理由がちゃんと…』



再び後ろを見ると誰もいなかった。



『乱馬…?』













乱「なんでいなんでいなんでいなんでいなんでいなんでい」



ふと、名無しさんの泣いた顔が思い浮かぶ。



乱「俺よりアイツの方がいいっつーのか。あーそーかいそーかいそーかいそーかい」



泣くほど、そばにいてぇのかよ。

…ばっかばかしい。



乱「名無しさんのばかやろーッ!!!!!!」









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