およそ一生なんて

□第21話
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-名無しさんside-




『生命(いのち)の水…?』

じ「そう。真之介が今日まで生きてこられたのは生命の水のおかげ…」



それからおじいちゃんは生命の水について説明してくれた。



じ「そして運命のあの日、真之介は大けがをして倒れていたんだ」

『それって…』



多分あかねを助けたときに負った傷。



じ「そのときに医者にももう真之介は助からないと言われた。わしはワラにもすがる思いで生命の水を真之介に与えた。そしたら奇跡が起こったのじゃ」

『なのに死ぬなんて…』

じ「飲むのをやめると頭痛、脱力感、立ちくらみ等々…だから真之介は生命の水が無ければ生きられぬ体…」

『そんな…』



少しの間だけど真之介くんとおじいちゃんの様子を見てると真之介くんは自分の命が長くないってこと知らないんだろうな。



じ「もうすぐ真之介が帰ってくる。決して涙を見せないように」

『…はい』



それから2人、笑顔の練習をした。



じ「遅かったな、真之介」

『おかえりなさーいっ!』

名無しさん/じ「…」

じ「もうすぐ死ぬなどと絶対に悟られてはならぬ」

『ねぇ、おじいちゃん。助ける方法はひとつもないの?』

じ「あるにはあるが…不可能に近い」



あるにはある。

今はそれにかけるしかないじゃない。


可能性が0じゃないなら…



『あたしなんでもやります。真之介くんが負った傷、あたしの親友を助けた時に出来た傷だと思う。その子の為にも真之介くんを助けたい』

じ「名無しさんちゃん…」

『それにここに来る時にあたしを魔物から助けてくれたの真之介くんだもん』





あたしだって真之介くんにずっと笑顔でいてもらいたい。





あたしが言うとおじいちゃんは涙を流して「ありがとう」と言った。







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