およそ一生なんて

□第16話
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『そもそも何が目的だったの?』


ムードを壊すように名無しさんが言う。


太「ったく…少しは空気ってものを…」


こんな言葉は伝わらねぇだろうけどな。






太「水をかぶるとあの姿になるのはあのじじいのせいなんだよ」

『え? 八宝斉の?』

太「あぁ」

『そりゃあ恨む気持ちも分かるけど…』

太「勘違いすんなよ。…俺は変身後の強い体は気に入ってるんだ」

『じゃあ…なにを?』


不思議そうな顔をして俺を見る。


…これって言うべきなのか?

軽蔑、されんじゃねぇか?




チラッと名無しさんを見ると心底心配した様子で俺を見ていた。









太「……名前だよ」

『名前?』

太「…あぁ」

『あぁ、そういえばあたしあなたの名前ずっと聞こうと思ってたんだ』



もう逃げられないと思い、ことの始めから終わりまで全て打ち明けた。

話してる間も名無しさんは真剣に聞いた。



『パンスト…太郎?』



そう一言言われただけでもうなにも俺は言えなくなる。



『自分でつけかえれない、んだよね』

太「村の掟だからな。名付け親以外は名前をつけかえれない」

『そっか…』


「おじいちゃん…」と苦笑いしながら言う。



『よし、分かった』

太「?」






『じゃあたし太郎って呼ぶ』






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