およそ一生なんて

□第3話
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わー…雨振りそう。



九「きみ、名は?」

『名無しさん 名無しさん…です』

九「ふっ、名無しさんくんとあかねくんにまとわりつく不逞の輩…」

『…』

九「この九能帯刀が成敗してくれる」



おもいっきり乱馬に向かっていく先輩だったが綺麗に交わされた。



乱「誤解のないよーにいっとくけど」

九「むっ!!」

乱「俺はあかねなんかなんとも思ってねーんだ!あんな乱暴で依怙地な女はなぁノシつけて…」

あ「なによ、変態!!」

『あー…また…』

九「あかねくんに対する暴言!許せん」



はぁ、とため息をつくと九能先輩は続ける。



九「名無しさんくんのことはどうなんだ!」



ぴたっと乱馬の動きが止まった。



乱「べ、別になんだっていーだろ」



突然の質問に戸惑う乱馬。


どう、か…

ただの拾った身と拾われた身。

他人という言葉が1番近い関係。


そう考えるとズキっと胸が痛んだ。



九「もしやっきさまっ!!」



同時に乱馬は上に飛び上がり先輩の額に指を這わせる。


そして雨が降ってきた。


すぐさま早乙女のおじさまが乱馬を抱えて体育倉庫へと消えて行ったのだった。



『あかね、ごめんね。きてすぐこんな…』

あ「名無しさんは悪くないわ。それにあたしが巻き込んだようなところもあるし」

『そんなこと、』



段々雨が強くなってくる。



あ「乱馬、大丈夫かしら」

『あかねは先行ってて!私、見てくるから』

あ「でも、」

『大丈夫!ちゃんと体戻ったら教室いくね』

あ「そう、わかったわ」



少し駆け足で校舎へ向かうあかねを見送り、私も駆け足で乱馬の元へ。







ガラガラ







体育倉庫のドアを開けるとらんまが悔しそうに拳を握っていた。



『らんま、アザあるよ』

ら「ん?」



私の喉を指さしながらジェスチャーする。



『初日からこんな…心配させないでよ』



おじさまがらんまにお湯をかけて男に戻った。



乱「…ごめん」


濡れた体を拭くため、乱馬にタオルを渡した。

さっきのことを2人で話していると先程までいたおじさまが居なくなっていた。



『あれ、おじさま…』

乱「神出鬼没だな」



少し狭い部屋に2人きりになった。



『い、行こうか』



なんだか気まずくなって立ち上がる。



乱「あのよー」



突然発せられた声に驚き、後ろにいた乱馬へ振り返った。



乱「無茶だけはすんな、頼むから」

『えっ?』

乱「あの、さっきみたいに」



あかねの前に出た時のことだろうか。



乱「怪我したら、どーすんだよ」



顔を背けてむすっとしながら言った言葉はとても暖かくて。

少しだけドキッと胸が鳴ってしまった気がした。



乱「…んだよ」



無意識に乱馬を見ていたらしく睨まれる。



『どうしたの、そんな、えっと熱…ある?』

乱「はぁ〜…ねーよ、そんなもん」



終始不貞腐れながら一緒に教室へと向かったのであった。






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