中編

□タバコと一輪の薔薇
2ページ/45ページ







奈『ここでいいの?』




飛「うん、
もうすぐそこだし」




奈『そ、』




カチッカチッ、ボッ…




奈『スゥー…』




私のことをバイクから下ろして
彼女はポケットから
タバコを取り出し吸い始めた



私はそんな自然な姿に
見とれてしまった




奈『ん?
あ、煙ダメだった?』




飛「あ、いや…」




奈『そっ、
でも、君吸ってないでしょ?』




飛「あ、当たり前でしょ」




奈『フッ、そーだよね』




飛「てか、あなたも
私と同じ年でしょ」




奈『うん』




飛「それ、犯罪だよ」




奈『そーだね、』




飛「ヤンキーなの?」




奈『そう思うならそう思えばいいよ』




飛「そう言われると
ヤンキーって思えなくなる」




奈『私は、
私なりに自由に生きてるだけ』




飛「なんか、
そっちの方がかっこよくなってる」




奈『フフッ、私、かっこいいもん』




飛「自分で言う?」




奈『自惚れるのはキャラじゃないのにね』




飛「フフッ、変な人」




奈『…』




飛「な、なに…」




奈『笑った方が可愛いじゃん』




ドキッ…




まただ、
さっきと同じ
心が跳ねた




奈『ん?』




飛「な、何でもない!」




奈『ふーん、変なの』




飛「あなたに言われたくない」




奈『奈々未』




飛「え?」




奈『私の名前は
「あなた」じゃない
「奈々未」って呼んで、飛鳥』




飛「な、なみ…」




奈『うん』




飛「また、会える…?」




奈『フフッ、迎えにいくよ
いつでも呼んで』




奈々未はタバコのケースの紙を
少しだけ切って
私からペンを借りて
電話番号を書いて渡してきた

紙からは
少しだけタバコの匂いがする




奈『じゃーね、』




飛「また…」




走り去る奈々未の背中を見る
あんなにかっこいい人に出会ったのは
初めてだ


また、会いたいと
そう思った







飛「なぁーちゃん」




西『うわっ、びっくりした』




飛「何こそこそしてんの」




西『な、何もしてへん!』




飛「慌てすぎ(笑)」




自分の席に座っている
なぁーちゃんに
後から声をかければ
誰かと連絡しているのであろう
持っていたケータイを隠した




飛「フフッ、恋してんの?」




西『っ///』




飛「してんだ〜(笑)」




私が聞くと
あからさまに
顔が赤くなった
なんも言わないのに
バレちゃうところ
可愛いなぁ、なぁーちゃん



飛「麻衣さん?だっけ?」




西『まいやん?』




飛「その相手」




西『う、うん…///』




飛「フフッ、マンガみたいな恋だね
私は応援するよ」




西『ありがとう///』




飛「今日もお迎えくるの?」




西『んー、どうやろ
なんか、忙しいって言うてた』




飛「ふーん」




西『飛鳥は?』




飛「え?」




西『ななみん!』




飛「ななみん?」




西『うん、
奈々未さんのこと
かずみんの知り合いやってん!』




かずみんとは
なぁーちゃんの
仲のいい友達




飛「あー、
連絡先は交換したけど」




西『よかったやん!』




飛「何が」




西『え?お似合いやと思うけど』




飛「まだ、
1回しか会ってないから(笑)」




西『そっか、
あ、今日まいやんに頼んで
ななみんも来てもらう?』




飛「いいよ、
忙しいかもしれないし」




西『聞くだけ聞いてみるな』




飛「うん」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ