短編・歌詞

□若桜
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若「玲香…ウグッ…」




白『若…』



私の肩を
支えてくれてる
まいやん


その手に頼るしかなかった


頼らなければ
今の私は崩れ落ちる



若「なんで…
なんで、、
ふざけんなよ…!!」



暴れたって
泣き叫んだって
玲香が戻ることは
もう、無い…



耳は聞こえてる



そんなこと言われたって
玲香が私の手を離して
目の前からいなくなる


私の手には
彼女の温もりが
まだ残っているのに



あの日、
家に帰れば
私の顔を見て
突然泣き出した
玲香の涙の意味を
気づいてやれなかった
詳しく知ろうともしなかった


ただ、会社で嫌なことがあっただけ


その言葉を信じてしまった、私


なんで、あの時もっと…



若「れい、か…
まだ、約束…
果たせてないじゃんか…
置いてかないでよ…!」



どんなに私が止めようとしても
時は去る



若「っ…!」



突然、
玲香の指先が動いた



若「れいか…
玲香っ…!」



前よりも
かなり細くなった
玲香の手


私はもう一度
その手を握る



桜『わ…かぁ…』




若「玲香っ!」



彼女は微笑み
何かいいかけて
そっと目を閉じた


そして、けたたましく
病室に広がる
機械音


目の前に
愛する人がいるのに
もういない



若「れいか…
ウグッ、ウグッ…」




(12月24日、15時57分…)



玲香の目を見て
医者はそう言った



白『若…』



私を支えてくれてるまいやん
少し離れたところでは
真夏、花奈、なぁちゃん、
美彩、奈々未が見守ってくれてる



若「ウグッ…
くそぉ…!」



















若「ふぅー…
今日も寒いね…」



ある山の麓

そこにある
小さな墓地


カスミソウとバラの花束を持って
私は一人でやってきた


コンクリートも凍ってる
こんな真冬に
玲香に逢いに来た



若「あー、さっむ…」



ホットコーヒーを
持ってくればよかったって
思ってる


そんなこと、毎年のこと


私は学習しないなぁ
なんて、一人で
鼻で笑ってしまう



若「玲香…
逢いに来たよ」



正式に
結婚は出来ないから
『桜井』
と、書かれたお墓

その目の前に
持ってきた花束を置く



若「もう、3年だね
もう少し待ってて…
もう少ししたら
一緒に手繋いで
いろんなところに行こ
次は、絶対に離さないからね…」



そう言って、手を合わせる


いつまで経っても
涙が出てしまうのは
どうしようも出来ない



若「はぁ…」



目を開けても
目の前に
玲香はいなくて
色のないお墓だけ



若「愛してるよ」



そう言って
立ち上がり
玲香に背を向けた



『わかぁ!』



何だか、
名前を呼ばれた気がして
振り返れば…



若「れい、か…?」




桜『私も、愛してるよ』



あの時の、
私の大好きな笑顔で
そう言ってくれた



若「っ…
ウグッ…!」



涙を拭い、
もう一度見るけれど
彼女はもういない



白『若!』



今度は
玲香ではない人に呼ばれ
振り返れば、
みんながいた



白『何泣いてんだよ』




若「うるさい…」




橋『フフッ、ちゃんと
愛の言葉伝えてきた?』




衛『若は誰かさんと違って
ちゃんと伝えるもんねぇ』




白『誰に言ってんの』




衛『さぁ?
2人いるからさー』




中『え、私…?』




秋『フフッ、そーかもねぇ』




若「プッ…アハハハッ」




白『何笑ってんだよー』




若「いや、嬉しくてさ」




西『玲香ちゃんも
喜んでくれてるかなぁ?』




飛『うるさそう』




若「否定はしないよ(笑)」




橋『さぁ、私達も挨拶をしよ』




若「みんな、ありがとう」




白『当たり前じゃん』




衛『玲香に挨拶したら
みんなでご飯だからね』




西『まだ夕方にも
なってないのに』




橋『こいつらには
そんなこと関係ないよ』



みんなが
玲香に手を合わせてくれてる



玲香、
ちゃんと見守っててよ
私のことも、
みんなのことも






玲香のお墓がある場所

それは、
私が玲香に
一生を誓った場所の麓
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