短編

□ベビーシッター
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家に戻り、
私はすぐに
ご飯の準備


七瀬はと言うと
ソファに座って
動物の番組を見ていた



でも、少しして
私のところへとやってくる



白「どーした?」




西『ん…』




白「危ないよ?
もう少しでできるから
ソファで待ってて?」




西『うん…』



もう一度、ソファに
戻っていたが
すぐ私のところへとやってきた



白「どーしたの?」




西『まいやん…』




白「んー?
寂しかった?」




西『うん…』




白「おいで」



作ってる途中だけど
七瀬を抱っこする



西『うどんやぁ』




白「フフッ、七瀬好きだもんね」




西『うん!』



私の家にやってきてから
初めてだ
こんなにも
元気な七瀬を見るのは



白「いっぱい食べる?」




西『うん!』




白「七瀬、食べれるの?」




西『食べれるもん!』




白「アハハハッ、七瀬
ちっちゃいからさー」




西『むぅ…
まいやん、きらいやもん』




白「ほんとにー?
私は大好きなんだけどなぁ」




西『ん…』



そう言うと
首に抱きついてきた



白「ん?」




西『ななも
まいやんすき…///』



なんだ、この可愛い子は



白「じゃ、今持ってくね
ちょっとだけ降りられる?」




西『ややぁ』




白「うどん食べれないよ?」




西『やや…』




白『ちょっとだけ、ね?』




西『また、すぐ
だっこできりゅ?』




白「うんすぐしてあげる」




西『おりりゅ』



私の腕から降りて
大人しくソファに座った


私は小さめの器に入ったのと
自分用のものを持って
ソファの前の
テーブルにおく



西『たべてええ?』




白「うん、いただきますしよっか」




西『うん!』




白「いただきます」




西『いただきましゅ』



パチンっと手を合わせて
フォークを握り
食べ始める七瀬


自分も食べつつ
七瀬の頬についた
汁を親指で拭う



白「美味しい?」




西『うん!』



うちへやって来て
2時間が経ち
やっと七瀬は
私に心を開いてくれるようになった



白「ごちそうさまでした」




西『ごちそーしゃまでちた』




白「よく言えたねー」



頭を撫でてあげれば
ニコッとして
嬉しそうにした














洗い物をしていれば
ソファの上で
小さな頭が揺れていることに
気づいた



白「七瀬?」




西『…』



水を止め
手を拭いて、
七瀬に近づくと
眠そうな顔をしていた


いや、もうこれは寝てる(笑)



白「七瀬、お昼寝しよーね」



だっこして、
寝室のベッドに寝かせてあげる



西『まいや…』




白「んー?」




西『スゥー…』




白「フフッ、寝言かな?」



お腹をとんとんっと
してあげれば、私もだんだん眠くなる






白「ん…」




西『まいやん…』




白「七瀬…?
起きた?」




西『ヴゥ…』




白「どーしたの?」



目覚めると
七瀬が私の隣に
ちょこんと座って
涙目で見つめてた


私が起き上がると
ぎゅっと抱きついてきた



白「よしよしっ」




西『まいやぁ…』




白「怖かった?」



そう聞くとうん、と頷く七瀬



白『もう大丈夫だよ、』



どんなに怖くっても
大泣きはしない七瀬


本当にいい子だ



白「そーだ、おやつ食べよっか」




西『うん…』



七瀬を抱っこしたまま
リビングへ行き
先程買ったお菓子を渡した


七瀬が買いたいと言ったおやつは
小さなドーナツ


こんなんでいいのかなと
思ったけど
あまり食べない七瀬には
丁度いいのだろう



白「おいしい?」




西『うん!
まいやん、あー』




白「あー、ん
美味しい」




西『エヘヘッ、』



この子、永遠に見てられるよ

さっきとは違い
おやつを食べたからか
笑顔が戻った七瀬

私の癒しでしかない



白「ママ、夜に戻ってくるのかね?」




西『ままぁ?』



ほっぺが膨らむほど
ドーナツを食べて
首を傾げている



白「保育園楽しい?」




西『うん!
かじゅみちゃんがなぁ
おもろいねん!
なな、わらっとるの!』




白「そっかー
お友達いっぱい?」




西『うん!』




白「フフッ、いいなぁ
私も行きたいよ」




西『まいやん、こーへんの?』




白「私は大人だから
保育園に行けないの」




西『まいやんも、いっしょ』




白「じゃ、今度
お迎え行こうかな」




西『うん!
やくしょく』




白「やくそく、ね?」



小さな小指に
私の小指を絡めて
七瀬が歌を歌う



西『ゆびきりげんまん
うしょ、ちゅいたら
はりまんぼんのーましゅ!』




白「関西だねぇ、(笑)」




西『んぅ?』




白「ううん、可愛いって意味だよ」




西『エヘヘッ』



ピーンポーンッ



白「あれ?もう来たのかな?」



インターフォンが鳴り、
ドアを開けると
おばさん、
七瀬のお母さんがいた



(まいちゃん、ごめんねぇ)




白「大丈夫ですよ」




(予定が早く終わったから迎え来たけど
七瀬、何してる?)




白「今、おやつ食べてました
中、上がってきます?」




(ううん、
私もこのあとやる事あるから
今日は帰るね)




白「分かりました
七瀬、呼んできますね」



そう言ってリビングへ行くと
七瀬はいなかった



白「あれ?七瀬?」



ソファに行くと
陰に隠れていた



白「ママがお迎え来たよ?」




西『やや!
まいやんとおる!』




白「また会えるから
いつでもおいで?ね?」




西『ヴゥ…やぁや…』




白「じゃ、最後にぎゅーしてあげる
だから、おいで?」



そう言うと
ちょこちょこと
私の目の前にやってきた

小さな体を
優しく抱きしめる



白「また、おいでね?」




西『うん…』




白「じゃ、今度はお泊まりかな?」




西『しゅる…』




白「フフッ、待ってるね?」




西『うん…』



荷物を持って
玄関に行き、
おばさんに
七瀬を渡す


七瀬はおばさんの肩に
顔を埋めて私の方を見ない



(じゃ、私たち行くね)




白「はい、
また、いつでも来てください」




(フフッ、七瀬
麻衣ちゃんのこと
大好きだから)




白「そう言っていただけて
嬉しいです」




(じゃ、またね)




白「はい」



ガチャンっと
ドアが寂しく締まり、
ソファに座ると
もっと寂しさが増した



白「なに、
私も寂しくなってんだよ…(笑)」













その数時間後、
七瀬が車の中で大泣きしてたって
メールが入って
少しだけ嬉しかったのは
言うまでもないだろう
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