中編

□Sea Magic
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西『ついたー!』




飛「意外に綺麗だね」




西『でも、焼けそうやな』




飛「日焼け止め塗ってー」




西『ええよー』




高校最後の夏休み
2人とも専門学校だから
もう合格して
この夏は海に来ようと
話していたのだ。




周りは家族連れが多く
チャラついた人達は
あんまりいない。

だから、安心した。




西『飛鳥ー、海いこー』




飛「うん」




ななと
波打ち際まで行くと
思っていたよりも
海は綺麗で
水温も冷たすぎず暑すぎず
ちょうど良かった。




『ねぇねぇ、おねーちゃんたち』




西『ん?』




『砂遊びしよー』




西『ええよー』



小さい女の子が
砂遊びの道具を持って
私たちのところにやってきた。



『でっかいお山作るの!』




西『フフッ、やろっか』




ななは
楽しそうに女の子と
山を作り始めた。


時折、波がやって来て
崩れたりもしたが
なんとか完成して
女の子は満足そうにしていた。




『できたぁ!』




西『すごいなぁ』




飛「ねぇ、ママとかパパは?」




『ママとパパはお仕事だよ』




飛「え、じゃ、1人で来たの?」




『ううん。あっちにお姉ちゃん達いるよ』




飛「心配するからもう行こっか」




『大丈夫!お姉ちゃん、波乗ってるし!』




西『波?
ここ、誰もサーフィン
してへんで?』




『あっちだよ!』




飛「とりあえず、
あっち行ってみよっか」




西『せやな』




女の子と手を繋いで
私たちはその子が
案内してくれた海まで
向かった。




私たちがいた海水浴場から
すぐ近くのところ
駐車場を通って
すぐに見えた海。



たくさんのサーファーが
波に乗っていた。



西『うわぁ、こんなところあったんや』




飛「みんな、かっこよく見える」




西『ホンマやな』




『あ!お姉ちゃんだ!』




突然、私たちの手を離して
走り出して行ってしまった
女の子。


見つけたと言っても
遥か遠くにいる。


しかも、私たちからは
どれがお姉ちゃんか分からない。



私達も女の子の後を追って
歩いていたら
突然肩を叩かれ
振り返ると
チャラついた男の人が
3人いた。




(なぁ、姉ちゃん達ここら辺の人?)




西『ち、違います…』




(そーなんだ)
(少し、遊んでく?)




西『大丈夫、です…』




(ちょっといいじゃん、)
(美味しい店しってるからさ)




飛「や、やめてください…」




私は腕を掴まれてしまい
男の人の力には勝てず、
振り払えない。




『やめろぉー!!』



(イッテ!!)
(んだよ!クソガキ!)




『おい、やめろよ』




(あぁ!?っ!!!)
(は、橋本…!)
(白石…)




橋『きもい、消えろ』




(くっ、くそ…)




突然現れた2人のサーファー
その2人をみて
男達はどこかへ行ってしまった。




白『あ、お金置いていってねー』




『何言ってんの!まいやん』




白『エヘヘッ、
置いていったお金で
祐希と一緒に
お菓子買おうと思っただけだよー』




橋『祐希に変なこと教えないで』




白『はぁーい
怒られちゃったよー』




祐『あーあ、』




橋『大丈夫?』




西『は、はい…』




白『珍しいね
ボード持ってない人が
こっち来るなんて』




祐『このお姉ちゃんたちに
遊んでもらってたの!』




白『あっ、そーなんだ』




橋『ありがとうございます』




西『いえ…』




白『そーだ、まだ私たち波乗るから
祐希のこと見ててくれない?』




西『大丈夫ですよ』




橋『ごめんなさい』




西『ななたちも
見ててもいいですか?』




白『全然いいよー!』




橋『じゃ、祐希
あっち行っちゃダメだよ』




祐『うん』




橋『よろしくお願いします』




2人は置いていたボードを持って
海へと向かっていった。



その後ろ姿に
少しだけドキッとした。




2人の荷物が置いてある
シートの上に座って
砂遊びをしている
祐希ちゃんを見ながら
波を待っている2人を見る。




西『あの2人かっこええな』




飛「ななも思ったの?」




西『うん』




飛「私もちょっと思った」




西『珍しい』




飛「なにそれ」




西『フフッ、飛鳥そんなこと思わへんから』




飛「でも、否定はしないよ」




祐『なな?』




西『ん?』




祐『ななって言うの?』




西『うん、
名前、教えてなかったっけ?』




祐『うん』




西『この子は飛鳥やで』




祐『あしゅかちゃん!』




飛「フフッ、言えないんだー」




祐『言えるもん!』




西『こーら、子供相手に
そんなこと言わへんの』




飛「だって面白いんだもん(笑)」




白『祐希〜』




祐『あ、まいやん!』




白『あーあー、濡れちゃうよ?』




祐『エヘヘッ、』




西『お疲れ様です』




白『フフッ、敬語なんてやめてよ』




西『でも、年上そうやし』




白『私達、19の代だよ』




飛「一個上だ」




白『あー、下なんだ。
でも、敬語使わないでね?』




西『はい』




白『日焼けしちゃうからこれ着な』




茶髪のロングヘアが似合う
彼女が渡してくれたのは
長袖のパーカーだった。




白『疲れたぁー』




西『いつから乗ってるん?』




白『今日は朝乗って
家に帰ってからまた来たんだ』




西『そんなに乗ってるんや』




白『うち、自営業だから
仕事始まる前と昼休みに
奈々未とよく来るの』




飛「奈々未…」




白『ん?なに?気になってんの?(笑)』




飛「ち、違います…」




白『あ、敬語』




飛「ん…」




白『フフッ、奈々未
無愛想だけど気にしないでね。
打ち解けたら
結構感情出すほうなんだけど』




海の方を見ると
無愛想な彼女は
サーフボードの上に
跨りながら
波をくるのを待っていた。




白『そう言えば、2人とも名前は?』




祐『なな!
あしゅかちゃん!』




白『なな?
あしゅかちゃん?』




西『フフッ、祐希ちゃん
舌っ足らずやもんなぁ』




与『なな!』




西『フフッ、なぁーに?』




白『なな?』




西『私、七瀬って名前なんで
自分のこと、そう言ってて』




白『へぇ、じゃあ、なぁちゃんだね』




西『っ///』




飛「フフッ、照れてる」




西『飛鳥、やめてぇや///』




白『で、飛鳥ちゃんか』




飛「うん、
呼び捨ての方が嬉しい」




白『分かった。
今日帰るの?』




西『ううん、
ホテルに泊まって
明日少し買い物してから
帰ろうかなって』




白『ホテル泊まるの?』




西『うん』




白『ここら辺高いでしょ』




西『うん、まぁ…
でも、その中でも安いところ
見つけたで』




白『それなら、うち来なよ。
うち、宿やってんだ
去年建て替えたばっかだから
意外と綺麗だよ』




祐『プール!』




白『うん、プールあるしね(笑)』




西『いいんですか?』




白『うん、
部屋、空いてるよ』




西『飛鳥、良かったな』




飛「あ、うん」




白『フフッ、奈々未見てたでしょ』




飛「別に…」




白『あいつ、
次の大会ガチでやるって
言ってて
今すごい練習してんだよね』




飛「そーなんだ…」




もう一度海に目線を戻せば
座っていた彼女がボードに
寝そべって水をかき始めた。

そして、ボードに立ち上がり
爽やかに波を乗りこなしていた。




白『おっ、決まったねー』




西『決まった?』




白『オブザリップっていう技
結構難しいよ』




西『すごいなぁ』




白『もう少し波が
いいのくればチューブライド
出来るんだけどねぇー』




飛「それはなに?」




白『波の中くぐるやつ
めちゃめちゃ気持ちいいし
あの中すっごい綺麗なんだ』




西『へぇー、かっこいいなぁ』




白『あいつ、怪我してから
あんまり波乗れてなかったから
結構必死なんだよ』




波を乗り終わって
濡れた髪をかきあげながら
こっちへ向かってくる彼女。




白『フフッ、飛鳥
見とれすぎだよ』




飛「別に、見とれてなんか…///」




白『奈々未、
最近振られたばっかで
メンタルやられてるから
癒してあげて』




橋『しーちゃん、
余計な事言わないで』




白『うぉ、いつの間に』




奈『ごめんなさい。
祐希見てもらったり
しーちゃんの話聞いてもらったり』




西『いえ、楽しいです』




奈『しーちゃん、
そろそろ戻らないと
怒られるんじゃない?』




白『今何時?』




西『14時』




白『うぉ!やっべ!』




奈『太陽見ればわかるでしょ』




西『そんなんで分かるんですか?』




奈『小さい頃から波乗ってるんで
時間は太陽が頼りなんです』




白『なぁちゃん、飛鳥
シャワー浴びたら海で待ってて!
これ置いたら迎えいく!』




西『うん』




祐『ばいばーい!』




3人は帰ってしまった。
まぁ、後で会えるんだけど




西『飛鳥、シャワー浴びに行こっか』




飛「うん」




私達もシャワーを浴びに
さっきまでいた
海の家へと向かった。













海の家で
かき氷を食べながら
まいやんを待っていると。




祐『いたっ!』




西『あ、祐希ちゃん』




祐『奈々未ー!』




橋『速いって、祐希…
あ、』




飛「あっ、どーも…」




祐希ちゃんが先にやってきて
あとから、服に着替えた
彼女がやってきた。


まとめていた髪を下ろしていた
彼女は、
金髪っぽい髪色で
肩にかかるかかからないかくらいの
長さが似合っていた。




橋『すみません。
しーちゃん、
手伝い忙しくて
抜けてこれなかったんで』




西『大丈夫です』




橋『案内しますね』




西『はい』




未だに敬語な彼女
こっちまで敬語を使ってしまう。




星『あ、ななみん!』




橋『みなみ
こっちに来たんだ』




飛「え、みなみ?」




星『あぁ!飛鳥!なぁーちゃん!』




西『なんで、ここにおるん?』




星『従兄弟がこの海の家やってて
お小遣い貰ってやってるのー』




橋『え?知り合い?』




星『うん!
学校の友達だよー』




西『世間って、狭いんやな(笑)』




星『飛鳥たち、今日帰るの?』




飛「ううん、泊まりだよ
明日帰る」




星『どこ泊まるのー?』




橋『しーちゃんとこ』




星『まいやん家かー
神社も近いしいいところじゃん!』




橋『あ、今日祭りか』




星『あ、そーだ。
みなみ、お店の手伝いするから
みんなで来てよ!』




橋『多分、しーちゃん行くと思うから
私は行くけど
2人はどうします?』




西『どーする?』




飛「みなみもいるし、行こっか」




西『せやな』




橋『じゃ、みなみ
また後でね』




星『うん!』




橋『おばさんによろしく言っといて
どーせ、おじさん波乗りに
行ってんだろうから』




星『フフッ、せーかい
また後でね!』









海の家を出て
彼女の乗ってきた
車に乗り込む。




橋『だーめ、
こっちに座って』




祐『やだー!
なぁちゃんの上座る!』




橋『私が捕まっちゃう』




祐『やー!』




車に乗ると
チャイルドシートに
座りたくないと
祐希ちゃんが駄々をこねる。




橋『お祭り行けないよ?』




祐『ゔぅ…』




橋『すぐ着くから』




祐『うん…』




橋『えっと、飛鳥ちゃんだっけ?』




飛「はい」




橋『前、座って貰ってもいい?』




飛「あ、はい」




橋『フフッ、ごめんね
怖い感じにしちゃって。
敬語、私にも使わなくていいから』




飛「うん…」




笑った彼女は
海がとても似合う
そう思った。
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