中編

□側にいる大好きな人
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奈『飛鳥、起きて』




飛「んん…」




奈『朝だよ』




飛「んー…」




奈『私先行っていいの?』 




飛「だめ…」




奈『じゃ、起きて
お母さんが朝ごはん
持っていけるようにしたから』




飛「んー…」




奈『ほら、おいで』




飛「んっ、」




毎朝、こんな感じ
朝が弱い私
本当は姉の奈々未も弱いけれど
ある日からちゃんと起きるようになった
その原因は私
後で説明するけど、
簡単に言うと私一人になると
必ずと言ってもいいほど
危ないことが起きる

奈々未がいないと
私は安全に
学校に行けないのだ



私を起こしに来てくれた
奈々未がおんぶをしてくれて
リビングまで移動する




奈『私、着替えてくるから
飛鳥、顔洗ってきな』




飛「んー…」




(飛鳥、起きなさい)




飛「わかってるー…」




ソファから立ち上がり
洗面所へ向かう

私が歯磨きを終えると
奈々未は着替え終わっていて
もう家を出れるようだった



奈『飛鳥、着替えてすぐ出るよ』




飛「はーい」




着替えてからリビングに行くと
もう奈々未はいなかった




(外で待ってるよ、お姉ちゃん)




飛「うん、行ってくる」




(気をつけてね)




お弁当をカバンに入れて
私は外に出る




奈『終わった?』




飛「うん!」




奈『行こっか』




飛「はーい」




奈『だーかーら、
私が怒られるんだよ?』




飛「学校の前で降りるからー」




奈『まったく、
ちゃんと捕まっててね』




飛「はーい」




奈々未が
自転車にまたがって待っていた
その後ろに私はまたがった



奈々未は1つ上の姉だ
あんまり似てないねって
言われる
まぁ、似てない
顔も似てなければ
性格も全く違う
でも、そんな姉妹は
この世の中いっぱいいると思って
気にしていない



私と奈々未は同じ学校
奈々未が家の近くの学校がいいと
言って、私立の高校を選んだ
だから、私もそこに行くと言って
進学をした
姉妹入学って言うのがあって
私の学費が2年間だけ
タダになるし
親もそんなに負担はかからない
奈々未が卒業すれば
私は学費払わなきゃいけないんだけど




奈『飛鳥、
そろそろ降りて』




飛「そのまま突っ込めー」




奈『まじで怒られるから』




飛「けち」




奈『何を言われようと
ダメなものはダメ』




飛「分かったよー」




奈々未が自転車を止めて
私は学校まで歩く
もちろん、奈々未も
自転車を押しながら
私の隣を歩く




奈『毎日私と来てていいの?』




飛「うん」




奈『友達いないの?』




飛「いるから
バカにしないでよ」




奈『ごめんって(笑)』




飛「でも、奈々未たちと
いた方が楽しいんだもーん」




奈『私たち、もう1年もしないで
卒業なんだからさ
他の子と仲良くしなよ?』




飛「分かってるよー」




西『あ!ななみん!飛鳥!』




奈『なぁーちゃん、おはよ』




西『おはよー』




奈『珍しい、1人なんだ』




西『うん、
今日まいやん
朝練やったらしい』




奈『そういう事ね』




西『2人は仲ええな』




奈『早く独り立ちしてほしいけど』




西『とか言って、
大好きやもんな(笑)』




奈『こーら、からかわないの』




西『ごめんやん(笑)』




そう仲良さげにする2人
私はそれを見るのが嫌なんだ
だから、私は
ただ前を向いて
2人の歩く速さに合わせていた




学校につき、
私たちは別々の階へ向かう
奈々未とは
ここでいつも別れる




奈『じゃ、飛鳥
また後でね』




飛「うん」




西『じゃーねー』




奈々未となぁーちゃんは
同じクラスだから
一緒に行ってしまう
私はそれが嫌だった
高校から仲良くなったものの
今では、私の知らないことも
お互い知っているのではないかという
嫉妬心が生まれている


そう、私は
奈々未のことが好きなんだ


姉妹だけれど
血が繋がっているけど
愛してしまっている
ダメなことと分かっているけれど
いつからだろう
私だけを見ていてほしいと
思ってしまったのだ
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