短編2

□だって、早く・・・
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「理佐、いってくるね」




『うん、いってらっしゃい』




朝、仕事のために
家を出る

今日は定時で
帰れそうだし
何か買っていこうかな

なんて、
もう終わった後のことを
考えていた






『お疲れ様です』



定時より少しあとに
帰れることになった


昼休み仕事頑張ってよかった〜
明日仕事休みだし
家で理佐とゆっくりしよう


私は帰り道に
理佐の好きなものを買って
足早に家路についた






「ただいまー」



玄関に入り
部屋の中を確認するけど
電気がついていないことに
気づいた


どこかでかけてるのかな?


リビングには
理佐はいなくて
着替えようと思い、
寝室へ行くと
ベッドで寝ている
理佐を見つけた



「理佐?」




『ねる…?』




「寝てたと?」




『うん…
ごめんね、お迎え
できなくて』




「いいけど、
体調悪いと?」




『ちょっと熱でちゃった』



涙目で
マスク越しに
顔が赤い理佐を見て
少しドキッとした



「何度あるの?」




『38度』




「明日、病院行かんと」




『いいよ、
ほっとけば治るよ』




「だーめ
ねる、明日仕事休みだし
一緒に行こ?」




『わかった…』




「何か食べた?」




『なにも』




「作ってくるから
寝ててね」




『うん』



私は着替えて
理佐のお粥と
自分の夜ご飯を作った



「理佐?
起きとる?」




『ん…』




「動ける?
ここで食べる?」




『ねると食べる…』



辛いはずなのに
ねると一緒に食べると言われて
嬉しかった



「いこ?」



だるそうに起き上がる
理佐を支え、
手を引っ張って
リビングへ向かう



「座ってて
なにか飲む?」




『おちゃがほしい』



自分と理佐の分の
飲み物を用意して
向かい合って座る



『いだだきます』



ちょびちょびと食べる
理佐が可愛くて
私は見つめていた



『そんな見られると
なんか恥ずかしい…///』




「エヘヘッ、どう?
美味しい?」




『うん、美味しい』




「よかった」




『ねる、ごめんね』




「よかよ
明日はお家デートやね」




『移さないように頑張る』




「ねる、風邪ひかないけん」




『野生児だもんね(笑)』




「バカにすんなよー」




『エヘヘッ、ごめんって(笑)
ごちそうさま』



理佐は少食なのに
ねるの作るご飯は
残さず食べてくれる



「どーする?体拭く?」




『うん、
自分でやるからいいよ
ねる、ゆっくりして』




「だーめ
理佐は大人しくしてて」




『そんな暴れてるわけじゃないのに』




「病人やけん」




『はい…』



お皿を片付けて
また、寝室へ戻る



「理佐、上脱いで」




『ん』



蒸したタオルで理佐の
背中を綺麗に拭いてく


理佐は恥ずかしいと言って
自分で出来るところは
自分でやっていたけれど
背中は届かないから
ねるがやることに



『ねる、ありがと』




「いいよ
横浜デートで
許してあげる(笑)」




『治ったら行こうね』




「うん!」




『ねる、お風呂
入ってきな?』




「分かったー
理佐、ちゃんと寝ててね?」




『うん』











お風呂から戻れば
理佐は
スヤスヤと寝とった


少しだけ空いてる口
軽くぎゅっと握ってる手
まつ毛が長くて
頬が赤い



「フフッ、かわい」




『んん…』




「好いとーよ、」



明日朝起きたら
絶対に病院行きたくない
って言うんやろなぁ


なにかご褒美買ってあげよ





早く治って欲しいし








なぜ?








だって、








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