短編2

□愛してる
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西「ん…」




白『おはよう』




西「まい、やん…」



目覚めれば
いつの間にか
ベッドの上にいた


昨日、ソファで
寝てしまったはずやのに…


きっと、
今隣で横になりながら
ななの腰に腕を回して
見守ってくれてる
愛する人が
運んでくれたんや



白『お風呂、入ってきな?
飛鳥来るからさ』




西「え…?」




白『私、ななみんと出かけてくる』



これからの予定を話す
まいやんの言葉に
頭がついていけない



白『朝ごはんもあるから』




西「子供、たちは…?」




白『大丈夫
ちゃんと送ったからさ』




西「そっか…
あ、仕事は…?」




白『有給溜まってるからさ』




西「っ…」




白『今、自分のせいだ
って思ったでしょ』




西「なんで…」




白『フフッ、長いこといれば
そのくらい分かるよ』



彼女は
余裕な顔をして
微笑んだ



白『よいしょ、
早くしないと
飛鳥来ちゃうよ?』




西「うん…」



まいやんに言われた通り
ななはお風呂場へと向かった



シャワーを浴びれば
蘇ってくる
昨日の記憶


気持ち悪くて
消したくても消せない
あの感触も
あの記憶も…


でも、その後に
思い出すのは
それを消そうと
必死にななのことを
愛してくれた
まいやんやった


その感触まで消えてしまいそうで
強く擦っていた手を緩めた










西「まいやん…」




白『んー?
って、髪びしょびしょじゃん
おいで?』




西「うん…」



まいやんは
ななの髪を
ドライヤーで
優しく乾かしてくれた



白『よしっ、終わり』




西「ありがと…」




白『フフッ、いいえ
ご飯、食べよっか』




西「うん…」



ダイニングテーブルを見れば
もう既に用意されてる朝ごはん

いつもより少なめ

ななが食べれないこと
分かってるんや


しかも、
ななに合わせて
自分の量も少ない


彼女の優しさに
涙が出そうになる



白『食べよ?』




西「うん…」




白『いただきます』




西「いただきます…」



まいやんのご飯は
とても美味しかった











ピーンポーンッ

白『ちょっと出てくるね』




西「うん、」



ご飯を食べて
2人で特に何もする訳でもなく
ソファの上で
無駄にくっついていた


突然なったインターフォン
それに反応して、
ななから離れたまいやん

ポッカリと空いた隣は
とても悲しかった



白『七瀬、』



名前を呼ばれ振り返れば
ななみんと飛鳥がいた



西「飛鳥…」




飛『どーしたの?
そんな暗い顔して』




西「それは…」




白『飛鳥ちゃん
七瀬の事よろしく』




飛『は?』




白『反抗期の中学生かよ…(笑)』




橋『やめなさい』




白『イテッ』




橋『私たち、ちょっと
出かけてくるから』




飛『聞いてないし』




橋『すぐ戻るから待ってて
なぁちゃんと』




飛『早く帰ってきてよ』




橋『分かってるよ』




白『七瀬』



まいやんは
いつの間にか
ソファに座ってる
ななの目の前にいた



白『愛してるよ』




西「うん…」




白『フフッ、安心して』




西「ん…」



ななのことを抱きしめて
頭を優しく撫でてくれた


ななみんは
いつも引き剥がしてくるが
今日はそんなことはしない



橋『しーちゃん、行くよ』




白『うん
すぐ戻るから』



まいやんはななから離れ
ななみんと
家を出ていった











西「飛鳥、なにか飲む?」




飛『やめて』




西「え…?」




飛『ななの空元気とか
見たくない』




西「ごめん…」




飛『何があったのか言って』




西「っ…」




飛『奈々未を連れ出して
出かけるとか
それに、ななもこんな状況だし
何かあったとしか思えない』




西「飛鳥…
なな、なな…」




飛『うん』



ななは、
昨日の出来事を
全て飛鳥に話した



飛『そっか…』




西「ウグッ、ウグッ…
まいやん、に…
知られたくなかった…」




飛『どうして?』




西「いややっ…!
嫌われ、たくない…」




飛『嫌うわけないじゃん』




西「わからんやん…
それに、
他の人に、触られた…
こんな、ななに…
触れてほしくない…」




飛『なな…』




西「ウグッ…グスンッ…」




飛『昔のしーさんだったら
ななにも怒ってたと思う
でも、今はちゃんと
ななの気持ち考えてるよ
ななは悪いことしてない
例え、汚れたとしても

そんなことでしーさんが
ななから離れると思う?』




西「っ…」




飛『私は思わないな
一生を誓った相手なんだから

しーさんに何か言われた?』




西「ななが汚れてるなら…
自分も、汚れるって…」




飛『フフッ、そんなこと言うとか
考えられないよね(笑)』




西「…」




飛『高校の時思い出してみなよ
馬鹿なことばっかりして
先生に怒られて
奈々未と若にも怒られて
それでも懲りずに
馬鹿なことしてた人だよ?』




西「フフッ、せやなぁ…」




飛『あんなやつが
そんなこと言うなんて』




西「馬鹿にしとるやろ(笑)」




飛『結構してる(笑)』




西「まいやんに言ったら
怒られるな」




飛『そしたら、奈々未に
怒られるよ、しーさん』




西「もう、なな止めへんよ?」




飛『いいよ
子供たちの前で
締め上げて欲しいもの』




西「やめてーや(笑)」




飛『フフッ、ななは
笑顔が一番似合うよ』




西「あ、、うん…」




飛『心配しないで?』




西「飛鳥…」




飛『ん?』




西「ありがと、」




飛『フフッ、いいえ』











それから、約2時間後
2人は戻ってきた



白『ただいまー』




飛『おかえり』




白『うひょ…!!
うちの可愛い子が
2人もいる…!!』




橋『飛鳥はあんたのじゃない』




白『すみません…』




西「おかえ、り…」




白『フフッ、ただいま』



さっきみたいに
2人が目の前にいるって言うのに
まいやんは
ななのことを抱きしめてくる



西「どこいってたん?」




白『あー、なんて言えばいいかな』




橋『喧嘩売ってきた』




飛『はぁ?』




白『何言ってんのよ』




橋『そんな感じってこと』




飛『大人になっても
喧嘩とかするわけ?』




橋『殴り合いはしないよ?』




飛『それ以外もすんな』




西「喧嘩売ってきたん…?」




白『ち、違うよ…!
ななみん!!
変な事言うなよ!』




橋『フフッ、ごめんごめん』




白『笑い事じゃないってば…』




橋『ずーに会って
その男のところ行ってきた』




西「え…」



ずーとは
ななが中学の頃から
仲のいいかずみんのこと
高校も一緒で
この3人も仲がいい



白『私が、七瀬の傷癒しただけで
気が済むと思う?』




飛『思わないね』



ななの代わりに
飛鳥がそう言った



白『フフッ、だから
「次、うちの嫁になんかしたら
ただじゃ済まないから」って
ちょっとだけ脅しただけ』




西「まいやん…」




白『もう大丈夫だよ』




西「ヴゥ…」




白『アハハハッ、泣かないでよ』




西「ごめん、なさい…
ほんまに、ごめんなさい…」




白『もう謝らないで
私は七瀬の笑顔が見たい』




西「うん…」




白『フフッ、子供たち
迎えに行ってくるね?』




西「ありがと…」




白『祐希が七瀬に
抱っこして欲しいって
泣いてたよ?』




西「わかった…」




飛『なな、
また何かあったら言って?』




橋『相談乗るよ』




西「2人ともありがと…」




橋『いいえ
じゃ、飛鳥帰ろっか』




飛『うん』



ななを置いて
3人は家を出ていった


1人になると
寂しいけれど、
なんでやろ
少し前より
心が軽い

傷が癒えたわけではない

でも、なんだかスッキリした
完全ではないけれど


子供たちが帰ってきたら
思いっきり抱きしめてあげよう

特に、祐希は
いつ、ママ離れできて
ななにくっついてくるんは
まいやんだけになるんやろ



西「フフッ、」



考えただけでも
頬が緩んでしまう
























祐『ただいまー!!
まーまーぁ!!!』




西「フフッ、祐希おかえり」




祐『ママ、かぜひいたの?』




西「ううん、ちゃうで」




祐『いたい、いたい…?』




西「んー、そうやったんやけど
もう治ったから大丈夫やで」




祐『ほんと!?
いっぱいぎゅーできりゅ?』




西「うん、してあげるで?」




祐『やったー!!』




白『むぅ…
祐希、ずるいぞー』




祐『パパ、めっ!!』




白『なんでだよー!』




西「今度は祐希の番やん?」




白『そんなの関係ない!!
七瀬はずっと私のものなの!!!』




祐『ちがう!!
ゆーきの!!』




白『わーたーしーのー!!』




美『ママ、大丈夫?』




西「美波、おかえり
大丈夫やで?」




美『よかった…
ママ、泣いてた?』




西「え…?」




美『お目目赤くなってるよ
それに、昨日の夜も泣いてた?』




西「どーして?」




美『ママ、泣いてる声聞こえたよ?』




西「そっか…
ごめんな、心配させて」




美『ううん、
パパと喧嘩した?』




西「してないで
ちょっと悲しいことあってん
でも、パパが解決してくれた」




美『エヘヘッ、パパ
やっぱり、すごいね』




西「やろ?
自慢のパパやんな?」




美『うん!』




西「あの2人置いて
おやつ食べよっか」




美『食べる!
あのね、今日ね
幼稚園でね』







白『ん?七瀬は?』




祐『ママ?』




『『はっ…!!美波ぃ(みぃー)!!!』』
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