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□虹
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まだ俺には気付いていないみたいで、だんだんこっちへ向かってくる。
でも、夕日がきれいな今日は影がよく延びる。
「い、いのちゃん…っ?!」
そこになんでいるの、と言いたいようなキョトンとした顔しちゃって。
可愛いって思う俺は不謹慎なのだろうか。
そんなだいちゃんは、素直じゃないから口を尖らせてプイッとそっぽを向いてしまった。
…本当は俺が迎えにきて嬉しいくせに。
「だいちゃん、ごめんね、」
だったら今日は、いや、今日も俺は素直になって謝る。
そうすれば、
「じゃあ、こっちきて…」
俯きながらだいちゃんはそう言って顔を真っ赤にしている。
顔にあたっている夕日がその色を一層増している。
いいのかな、なんて思いながらもだいちゃんの側に行った。
すると、俺に抱き付き甘えるように力を強めた。
頭一つとまではいなかいけど、それなりに身長差があるからなんか理想のカップルの身長差みたいな、そんな感じ。
「いのちゃんの匂い、すごいすきー」
気が付けば、俺とだいちゃんの影が重なっていてそれをみただいちゃんが
ほら、みてみて!なんて笑っていた。
「ふふ、だいちゃん、帰ろうか?」
「うんっ/」
と公園を出ようとした時、わずかながらに雨が降ってきた。
「雨、降ってきちゃったね、」
「はい、傘」
雲行きが怪しかったから一応折りたたみ傘持ってきたけど役に立つとは。